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「本当はブラックな江戸時代」

本当はブラックな江戸時代
永井 義男
辰巳出版
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 人間は極端から極端に走りやすいもので、「いままでAと言われていたが、実はBだ」という説が出ると、一気にBに走りがちだ。健康情報とか、人物評とか。

 江戸時代についても、古くて非合理な時代という認識だったのが、江戸は実はそれなりに進んだ都市だったらしいという説が出ると、一気に「江戸はユートピア」のような声も出てくる。

 本書はそれに反論して、江戸社会の悪い部分を取り上げている本。まあ実際には本書でも書かれているように、同時代の他国より進んでいた部分がある(ヴェルサイユ宮殿の庭が糞尿だらけだったという時代)が、現代から見ると遅れているわけで。いい面と悪い面を合わせてバランスをとって解釈するのがいいと思う。あと、「エコな社会というより、物が高かったのでリサイクルが進んだだけ」というのは、まあそれは別にいいんじゃないかと思った。

 本書で取り上げられているブラックな江戸時代からいくつか。

  • 住み込み奉公での休日は年2日
  • 大店で31年間に326人が辞職したうち、病気で郷里に帰ったのが82人、死亡が64人、出奔が44人、解雇が26人
  • 通り魔殺人は多かった。動機として「生きた人間を槍で突いてみたかった」と、現代の通り魔殺人と似たような供述も
  • 窃盗でもすぐ死罪になるので、かえって届け出のない犯罪が多かった
  • 鮮魚を食べて当たっても普通
  • 便所は汲み取りだし生ゴミのビニール袋もないしで、長屋は悪臭
  • 声がつつぬけの長屋でも孤独死
  • 武士でも文盲多し
  • 幕末のイギリス人外交官アーネスト・サトウいわく「大名は権力もなく、知能の程度は水準をはるかに下回っている」

「江戸将軍が見た地球」

江戸将軍が見た地球<江戸将軍が見た地球> (メディアファクトリー新書)
KADOKAWA / メディアファクトリー (2013-02-22)
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 題名だけだと「実は江戸時代の将軍は世界のことについて詳しかった」という本のように見える。しかし実際には違い、徳川15代の政権がそれぞれ海外(主にヨーロッパ)にどのように対応したのかを中心に、各時代の政策の流れを語る本だ。

 とはいえ、15代の中で、海外に対して積極的なアクションを取ったのは初代の家康と2代の秀忠、そして15代の慶喜ぐらい。あとは、いわゆる鎖国を完成させた3代家光と、実学に限って蘭学をバックアップした7代の吉宗か。特に8〜14代については、能力が低かったり周囲が抑えてたりで政治自体にあまり関われなかったという。

 家康と秀忠の対応は、ヨーロッパ各国が覇権を争う大航海時代に、それぞれの国との個別の交渉が鍵だったことがわかる。基本的にはよく言われるようにカトリック国を締め出す方向で、でもそのためにスペインに近付いたり手を切ったりと粘り腰の外交をやっている。あと、やはりウィリアム・アダムス(三浦按針)とヤン・ヨーステンは重要だったんだなと。

 著者は幕末維新期が専門なだけあって、慶喜については特に詳しく書かれている。フランスびいきでナポレオン好きなところについては、後の明治初期政府のプロイセンびいきなところと対照的だったり。

 ちなみに、「鎖国」について著者は、「『鎖国』という名称は江戸時代後期に逆輸入されたものだが、相当する制度群があって『いわゆる鎖国』は存在した」という立場をとっている。

「BOX 〜箱の中に何かいる〜」

BOX~箱の中に何かいる~(1) (モーニングコミックス)
講談社 (2016-11-22)
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 諸星大二郎による、脱出ゲーム+デスゲーム+ホラー+異界+伝承+化物+パズル+ミステリーな新作。続きが楽しみ。

「決戦! 桶狭間」

決戦!桶狭間
決戦!桶狭間
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冲方 丁 花村 萬月 宮本 昌孝 富樫 倫太郎 矢野 隆 木下 昌輝 砂原 浩太朗
講談社
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 1つの合戦について1人の人物を1人の作家が担当する合作歴史小説シリーズ第5段。

 今回、花村萬月「漸く、見えた。」が問題作だ。今川義元が討たれた後、その首の一人称による“意識の流れ”の形式で、しかも句点なしで流れるように語る。これは、ノれるかどうか読む側の個人差や気分差が大きく出るだろうなあ。私の場合は、寝る前のゆったりした状態で読んだので、わりとノって読んだ。

「「日本スゴイ」のディストピア」

「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜
早川 タダノリ
青弓社
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 本書によると、満州事変の後に「日本スゴイ」本の大ブームがあったとか。その玉石混淆な中から、「歴史のゴミ箱に捨て置かれたようなクラダナイ本、知っていても役に立たない本、人類の運命にとってはどうでもいい本」を厳選して紹介している本だ。

 著者の意図は、現代のTVや書籍の「日本スゴイ」ネタブームの批判にあるようだけど、そうした番組や本はあまり見てないのでよくわからない。単純に、おバカ本の紹介として面白おかしく読んだ。

 キワモノ本としては、「皇国日本教育の建現」がブッ飛んでいた。「国民としての自我意識とは宇宙我」といった言葉のもと、まったく意味のわからない図版が並んでいるらしい。どう見ても教育理論ではなくトンデモ宇宙体系(プレアデスと高田馬場がワームホールでつながっているような)の本だ。

 今から見ると能天気なネタとしては、「日本人は米を食べているから粘り強い」とか「魚を食うから日本は強い」とかいった本が取り上げられている。「お墓を大切にするから日本は栄える」という霊感商法みたいなことを言っている本もある。

 教育方面では「大君は日本の家長、学校の教師は学級の家長」とかドサクサにまぎれて自分の権威をもちあげるものとか。今も昔も些細なしきたりにこだわる面があって、弁当の食べ方について「弁当箱は中央に、風呂敷は左、茶碗は右に」と細かに書いたり、皇室の御真影の順序について議論したり、掃除訓練の意義を「皇国の興隆を決する大東亜戦争の真の勝利」に求めたり。

 労働方面では、「わが国の労働は、皇国民たる労働者のなす労働であるが故に、その根底に於いて仕奉を在り方とするもの以外ではあり得ない」とか、「自分の働きに対して報酬を云々するのでは、奉公の意味もなくなります」とか、今も言ってる人いそうなブラックな言説が出てくる。

 当時の日本が見えてくるものも。「昭和国民作法書」では、「用便は庭や路傍にすべきではない」と教えていて、当時の日本では男女を問わず道端で小便をするのがあたりまえだったことがわかる。内閣発行の「写真週報」では、「切符を買うのに順序を守れ」「社内にゴミを捨てるな」などと書かれていて、守られていなかったんだなあと思わせるし、その呼び掛けに「東亜の盟主をもって任ずる日本国民として」というのも大時代的だ。「日本スゴイ」本とは違うけど、「産業青少年不良化防止対策」「徴用工員錬成記録」から引用された犯罪件数や事例を見ると、本当に昔の日本は少年犯罪が多かったんだなあと思う。

 さすがに本書で取り上げたのは最底辺の言説だろうと願うけど、今も昔も、日本も外国も、TVも書籍もネットも、みんな流行に全力で乗っかって流され、後から見るとバカだったなあと思われるんだなあと(適当)。

「風雲児たち 幕末編」28巻

風雲児たち 幕末編 28 (SPコミックス)

リイド社 (2016-11-30)
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 島津久光の上洛をネタに、清河八郎が全国の勤皇派をたきつける回。西郷と大久保が事態の収拾に動く。そして、大久保と岩倉具視が出会う。

 それにつれて長州も公武合体論から一気に倒幕路線に。

 巻末の予告では「次巻(第29巻)は寺田屋の惨劇」と。

「ここまで変わった日本史教科書」

ここまで変わった日本史教科書
高橋 秀樹 三谷 芳幸 村瀬 信一
吉川弘文館
売り上げランキング: 7,176

 オジサン世代が「いまの学校では鎌倉幕府成立を1192年じゃなくて1185年と教えてるんだよ。『いい箱作ろう鎌倉幕府』ってね」とドヤ顔で言ってるシーンはきっと全国であると思う。実は本書によると、いまは「いい国作ろう源頼朝」になっていて、1192年に源頼朝征夷大将軍に任じられたことをもって「名実ともに成立した」と書いている教科書が多いという。そして鎌倉幕府の成立年は、段階的に成立したので断定できないという見解らしい。

 また、TVやインターネットでは「江戸時代の鎖国はなかった」といったセンセーショナルな言いかたがなされがちだ。それに対し本書では、教科書から「鎖国」の語が消えつつあり「四つの口」での外交に言い方が変わってきているとする。そのうえで、歴史上の事柄について複数の解釈ができることを学ぶ「歴史の説明」の教材として、いわゆる「鎖国」がとりあげられているという。つまり、視点によって、貿易していたようにも閉ざしていたようにも見えるというわけだ。

 言い方が変わったといえば、1980年代まで「縄文式土器」と言われていたものは今は「縄文土器」と呼ぶそうだ。

 あとは、遣唐使は廃止ではなく中止だったとか、江戸時代の「藩」は公称ではなかったとか、毎度おなじみの北条早雲の名前や田沼意次の評価とか。

 という具合で、書名から想像しがちな煽りではなくて、けっこう地道に日本史の定説の変化が書かれている。なにしろ、がらりと変わったと強調されているのが藤原京の大きさだったりするし。

 ちなみにオジサン世代としては、バブル時代とジュリアナ東京が日本史の教科書に登場しているというのはちょっとした感慨がある。もちろん、ジュリアナ東京のオープンがバブル崩壊後の1991年というのも付記されているそうだけど。

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