本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「ポンコツ武将列伝」

 戦国などの武将のポンコツエピソードを軽妙な語り口で紹介する本。著者さんは、小田氏治と兵主源六について書きたくて、あわせてほかのポンコツ武将のエピソードや、有名武将のポンコツエピソードとあわせて1冊にまとめたとのこと。

 たとえば兵主源六は、秀吉軍による「鳥取城の餓え殺し」のときに、近くの山城からゲリラ戦で秀吉軍を悩ませたという、なかなかの活躍ぶりだった。それがどう敗れたかというと……コントか! と本に向かってツッコんでしまった。

 一方の小田氏治は、連戦連敗の戦国大名。9回も居城を取られているけど、9回取られたということは8回は取り返しているわけで、よく言えば不死鳥のような。本書ではその城の取られ方のポンコツぶりを紹介している。

 そのほか、映画「清洲会議」で馬鹿まるだしに描かれた織田信雄とか、漫画「信長の忍び」でも撤退スペシャリストをこじらせてすぐ逃げる人と扱われている佐久間信盛とか、ドラマ「おんな城主直虎」でも大名としては冴えなかったけど文化人枠で家系を繋いだとして描かれた今川氏真とか、ネガティブ武将の毛利隆元とか、卑怯者として名が残る荒木村重や織田有楽斎とか、さまざまなポンコツ武将が登場する。

「テトリス・エフェクト」

 テトリスは1980年代末ごろに日本に登場した。当時ソ連(ソビエト連邦)がまだあったころで、その鉄のカーテンの向こうからやってきたということで秘密めいた印象を持ったものだ。

 1990年の「ファミコン通信」の付録で、昭和の子供雑誌のスパイ絵物語っぽいレトロ(当時すでに)なテイストで「アレクセイ・パジトノフの秘密」というパロディ記事があって、周囲の友人とウケまくっていた。ググってみたら、その記事をまるごと紹介している人がいて、あーこれだこれだと。

 石原豪人先生の絵だったのね、知らなかった。

 さて、本書はテトリスがソ連から西側諸国で発売されるまでの騒動を中心に描いたノンフィクションだ。西側のビジネスマンと、ソ連のアレクセイ・パジトノフの両側から話が進行する。その部分がメインなので、テトリス開発までの道のりも描かれているけど、時系列は前後する。

 現在知られているとおり、テトリスのライセンスは任天堂のルートと、ミラーソフト/アタリゲームズ/テンゲンのルートの2つがあって、訴訟にもなった。そのへんの、スーパープログラマー兼山師たちと、資本主義の常識を知らないソ連官僚との、駆け引きやら単なる無知やらで右往左往する三つ巴の争いと、当時のソ連の社会状況などが面白かった。

 任天堂のエージェントとなったのが、ヘンク・ロジャース。アムステルダムで生まれ、ニューヨークで育ち、宝石商の父親の引越しにともない一度日本に移住するも馴染めずにハワイで大学生活、しかし日本人の彼女ができて再び日本に移ってソフトウェア開発を仕事にし、日本初のRPG「ブラックオニキス」(アラフィフ以上の元パソコン少年なら知ってると思う)を開発した。

 それに対するは、西側のビジネスマンで初めてテトリスに興味を持った男ロバート・スタイン。ハンガリーで生まれて第2次大戦で難民としてイギリスに渡り、セールスマンとしてテクノロジー分野の商才を発揮。初期のパソコンでソフトウェアが必要になることを見抜いて、母国ハンガリーで開発されたソフトウェアを安く買って米国などの会社に売る(ボーランドが販売した「クアトロ・プロ」など)。その流れで、ハンガリー人が遊んでいたテトリスに目をつけた。

 そのバックとなるミラーソフトは、アクの強いメディア王ロバート・マクスウェルの会社。マクスウェルはチェコスロバキアに生まれ、1940年にナチスドイツから逃げるようにイギリスに移住。デイリー・ミラー新聞などを傘下に持つ。

 ロバートの息子のケヴィン・マクスウェルは、父親に対してコンプレックスを持ち、成果をアピールしたいがためにテトリスのビジネスに関わる。

 なお、タイトルの「テトリス・エフェクト」とは、テトリスの中毒性を表す言葉(Wikipediaでは「テトリス効果」)で、実際に医学の文献でも使われている言葉だそうな。でも語源は、ジャーナリストのジェフリー・ゴールドスミスが1週間の間テトリス中毒になった経験を「WIRED」に書いたレポート記事からだという。そういった事例や、脳のどの部分を活性化するかといった話が、本書でも幕間の「BONUS STAGE」で語られている。

「どんがらがん」

 アヴラム・デイヴィッドスンの短編集。2編ぐらい読んだことがある程度で全体像を知らなかったけど、いずれもSF、ファンタジー、ミステリーホラー、魔術的リアリズム、奇妙な味の短編のいずれともつかないような、変な感じの作品が並んでいた。ふわふわしてるのにすっきりした感じというか。

 ちなみに、「あるいは牡蠣でいっぱいの海」という邦題が知られていた短編が「さもなくば海はは牡蠣でいっぱいに」となっていることに、批判的な意見も多いらしい。本書解説によると、元ネタ(シャーロック・ホームズ)にはこっちの訳のほうが近いようだけど。

「新仮面ライダーSPIRITS」17巻

だが……そんな救いのない強さに 正義などあるのか

 ライダー軍団勢揃いで、デルザー+大首領との戦いに。そしてニードルや三影らのバダンが独自に暗躍を始める。

 巻末インタビューは、記録魔の元朝日放送プロデューサー左近洋一氏。ご本人はもちろん、インタビューアーさんも細かいなあ(笑)。

「絶対に行けない世界の非公開区域99」

 一般人絶対立入禁止の所を、写真や図をたくさん使って、1〜3ページずつ紹介している。子供向けの世界の秘密図解みたいなのを大人向けにした感じで、「男の子ってこういうのが好きなんでしょ」ってやつだ。

 CIA本部やペンタゴン、米国大統領執務室、バッキンガム宮殿、FSB本部などは、まあオーソドックスなところだ。また、HAARP研究施設やエリア51、ダルシー基地、コカ・コーラのレシピ保管庫、アララト山上の奇妙な物体などは、陰謀論の定番といえる。米墨麻薬密輸トンネルもよく言われる場所だ。

 でもそれら以上に面白かったのが、そもそも知らなかった場所だ。多いのが情報などの保管庫だ。たとえばスウェーデンのパイオネン・ホワイトマウンテンは、核攻撃に耐えられるよう作られた地下施設を、バーンホフ社のホスティングサービスのデータセンターに使っており、顧客にはウィキリークスもいるという。

 同様に、スイス・フォートノックスでは、「マウント10」社がスイス陸軍から地下壕を借りた場所にサーバーファームを置いて世界中から機密データを保存している。グラナイトマウンテン記録保管庫は、末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)が系図を収めた膨大な量のマイクロフィルム保管している。

 そのほか、ノルウェーのスバーバル世界種子貯蔵庫は世界中の植物の種子を地下に保存している。ロッキー山脈にあるADXフローレンス収容所は、米国の最も危険な囚人を収容している。エジプトとガザの間には、ガザ地区の密輸トンネルが何本も掘られているという。

 というわけで、知っていてもあまり役に立たないけど、ぼーっと見ていて楽しめる。グアンタナモ湾収容所みたいな負の施設もいくつか載ってるので、そう言うのはためらわれるけど。

 ちなみに、日本からは伊勢神宮がランクインしている。原著では福島第一原発を入れて「100」だったらしいけど。

「Airbnb Story」

 シリコンバレーで成功したITベンチャーには珍しく、Airbnbはデザイナー2人が創業したという。後から1人のエンジニアが参加して、3人の創業者となった。

 「Airbnb」という名前も、もともと一室にエアマットだけ用意して泊める「エアベッド&ブラックファスト」(bed and breakfastは簡易ホテル、民宿)なのだそうだ。けっこうある時期まで、エアマットにこだわっていたり、ホストとゲストの交流にこだわっていたりしたとか。でも、そのへんを変えてきたのも成功要因の一つらしい。

 もともとサンフランシスコでデザイナーのカンファレンスが開かれたときに、参加者向けに自分の部屋に泊めるサービスをしたのが始まりだそうだ。そこから一般的なサービスとして始め、オバマが大統領になるときの民主党大会のときにも少し盛り上がったとか。

 でも特別なときしか利用が伸びず、シリアルに広告を貼って宣伝したりと苦しい策をやっていた。Yコンビネーターの面接でもポール・グレアムの反応は薄かったのだけど、そのシリアルを出して売り込んで合格したとか。なんでも、その泥臭い姿勢が認められたんだとか。ポール・グレアムいわく「君たちゴキブリみたいだ、絶対に死なない」。

 そのとおり、最初はかなり厳しい経営状態だったそうだけど、グロースハックでコツコツと工夫を積み重ねて成功にいたったとか。あと、Airbnbのエコシステムとして、たとえばホストを助ける会社なども起こっているところも、成長を支えているようだ。

 創業者3人の性格がそれぞれ違ったところも成功要因の1つらしい。チェシーは大変な勉強家で、経営のシロウトから始まり、さまざまな本を読みまくって、さらにさまざまな大物に会いまくってアドバイスを受けたという。Appleのジョナサン・アイブ、Facebookのマーク・ザッカーバーグ、Googleシェリル・サンドバーグ、eBayのジョン・ドナヒュー、Salesforceのマーク・ベニオフなどだけでなく、元CIA長官やシルク・ドゥ・ソレイユの経営陣、さらにはウォレン・バフェットにもアポをとって話をしたとか。本書では、そのへんの泥臭いバイタリティが成功の大きな要因として語られている。

 もう1人のゲビアは完璧主義者で、それが最初はよくても、社員数が増えるにしたがって社内の不満がたまってきたという。幸いそれを自覚することができて、「象、死んだ魚、嘔吐」という3つの枠で社員との対話を改善したとか。

 エンジニアのプレチャージクは、エンジニアであると同時にビジネス的なセンスももっていて、グロースハックもプレチャージクが持ち込んだとか。性格テストでは、経営メンバーの中で一番はずれていて、それがいい結果をもたらしていると診断されたという。

 ちなみに、プレチャージクがガールフレンド(後の妻)の就職(医師)にしたがってボストンに引っ越してリモート勤務していたものの、ちょうど最初の大型投資を受けたタイミングでそのガールフレンドのスタンフォードへの転勤が決まったというエピソードは、ちょっとできすぎかも(笑)。

 本書の構成では、サービスの便利さや企業の努力などのポジティブな話の章と、悪徳ゲストや悪徳ホストによる問題の章が交互に配置されているなと思った。印象を偏らせないような工夫なのかもしれない。

 あと、Airbnbホストが集まる公式イベントに目玉講演者として近藤麻理恵さんが登場した話が出てきて、話に聞くように米国の、Airbnbに関わるような層で人気なんだなと思った。

「室町無頼」

 2016年下期直木賞候補にノミネートされた小説。ノミネート以前から面白いという評判は聞いていて、でもようやく読んだ。やはり面白かった。

 応仁の乱の直前頃に起こった蓮田兵衛の徳政一揆(私は本書で知った)を描く。ただし、それを最後のクライマックスに配置して、そこまでは主人公の成長や、主要人物の人となりを描く。

 その登場人物が魅力的なのが本書の最大の特長だと思う。ストーリーというより人物の魅力で話を引っぱっていくというか。

 背景は、京の川に餓死者の死体が多数流れ、金持ちは飽食しているという、貧富の格差が激しい時代。そこで農民より下の暮しをしていた牢人の子の才蔵が主人公となり、棒術ひとつで時代を駆けていく。

 蓮田兵衛と骨皮道賢という、実在した2人の人物が、物語としては主人公以上に活躍する。いずれも清濁あわせちつつ芯は理想家として描かれている。

 ほかにも、その3人が関わる芳王子という美女やら、脳筋キャラの馬切衛門太郎やら、魅力的な人物が続々と登場する。悪役の法妙坊暁信もいい味出してるし。

 清濁あわせもつ人物が革命を目指すというのは、ちょっと船戸与一の南米ものを連想した。あと、雰囲気はマンガ「バンデット 偽伝太平記」とか。

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