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「カリスマ幻想」

カリスマ幻想―アメリカ型コーポレートガバナンスの限界
ラケシュ クラーナ
税務経理協会
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 米国の大手企業というと、CEOが業績不振とかで更迭されては外部から新しく就任したり、というのが繰り返されている印象がある。本書はそうしたCEO人材市場の知られざるメカニズムを調査し解説した本。もともと著者の博士論文からスタートしたプロジェクトで、米国の大企業850社の調査とフィールドワークが元になっているという。CEO選任の話でしばしば本書の名前が上がるので、ちょっと前に読んだ。

 そのさまざまな事例から著者が論じるのが、ショー化するCEO選任の姿だ。投資家や金融メディアは「停滞している企業を、外から招かれたカリスマCEOが救う」という、アイアコッカ的なドラマを求める。企業の好調も不調もCEO一人のものとされ、不調であれば更迭され、好調であれば賞賛される。CEO選任は手さぐり状態で進み、そもそも誰も経営者の“カリスマ性”の正体がわかっておらず、単なるスター性で選んでしまう。

 もちろん内部から選任する旧来のプロセスが問題となっていた点なども解説している。また、エグゼクティブサーチ(ESF)会社の存在と、その特異性なども興味深い。

 以下、自分メモ。

  • リーダーシップやカリスマ性に異常にこだわる
  • 選抜プロセスのすべては、企業の救世主をプロデュースすることに傾注される
  • 新CEOが就任後比較的早期に結果を出せない場合には、そのCEOを選抜したこと自体が問題視される
    • 取締役たちは期待を裏切られるたびにCEOを取り替える、という悪循環
  • 諸悪の根元はCEOにある、との決めつけ
  • リーダーシップと企業実績との相関性についても決定的なことは何一つ実証されていないにもかかわらず、CEOは極めつきの重要性を持つ、と根強く信じられている
    • リーダーシップ説とコンストレイント説
    • 「リーダーシップは役に立つか」ではなく「いつ役に立つか」という説も
  • ウォーレン・バフェット「業績不振企業に優れた経営者がやってきても、無傷で残るのはせいぜいその企業の名声だけ」
  • 米国の個人主義を過度に偏重する文化
    • 社会的、経済的、政治的な影響力を軽くみてしまう
    • 複雑な事象を個人の力量に落とし込んで錯覚してしまう
  • サーチは極めて閉鎖的に行われる
    • 直接的または間接的な知己
    • 取締役の人脈
  • 通常の感覚で理解される「市場」とは異なる
  • 買い手、売り手とも参加者が極めて少ない
  • 参加者にとってハイリスク
    • 逆選択、情報の非対称性
    • 候補者の上司などの意見を聞くわけにはいかない
  • 正当性が常に意識される
    • 「生き返った」ことを誇示するため
  • 有能な社内候補者よりも社外の魅力的な候補者を好む傾向
  • カリスマ志向
    • 投資家からのプレッシャー
    • ビジネス誌は、企業の戦略や資金計画よりも、CEOの癖や私生活などについて多くのページを割く
    • アナリストは、自説がメディアに取り上げられるため、CEOの特定のパーソナリティをCEOの職務に不可欠なものとして確立
    • 企業のイメージ戦略
  • 「カリスマ性」という言葉が漠然としている
  • スペックシートが、完成されるまでの間だけ重要性を発揮されるものに
    • 企業業績とCEOの資質の関係が事前にわからない
  • 「リーダーシップ」「チームビルダー」などの言葉だけが踊ることに
  • エグゼクティブサーチ(ESF)会社
    • 経済理論どおりにいかない市場
      • ほとんどのケースで、候補者についてはESF会社より取締役会のほうがよく知っている
    • 四大ESF
    • 候補者にコンタクトするときに、社名を伏せることによってリスクを回避
  • リスク
    • CEO解任から短期間で次のCEOを探す
    • CEO報酬の高騰
    • 内部の人たちの貢献が低く評価される

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