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「本当は危ない『論語』」

本当は危ない『論語』 (NHK出版新書)
加藤 徹
NHK出版
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 題名は“論語の正しい解釈を論ずる”という面倒そうな印象なのだけど、中身はむしろ“論語は本格的な中国史が始まる前の古代の書物だから、いろいろに解釈できてしまう”という立場だ。

 著者の説の中でも、有名な言葉を次のように解釈しているのが、ちょっといい感じ。

14までは学問が好きじゃなかった。29までは自立できなかった。39まで自信がなかった。49まで天命をわきまえなかった。59まで人の言うことを素直に聞けなかった。まあ人生なんて、そんなものだよ。

 そうした視点で、孔子とその一門の話から、論語の成立、後世がどのように論語を読んだかまで、いろいろなトピックを解説している。知識のない自分には、「論語は儒教の第一経典ではない」といった成立過程が特に興味深かった。

 以下、メモ。

  • 漢民族以外で漢字や論語を本気で受け入れたのは、朝鮮半島、ベトナム、17世紀以降の日本など、集約農業の国ばかりだった
  • 論語は神もあの世ぬきでも道徳的な社会を築くことができるとした
    • そのなまじな近代性が、中国人が近代科学というシステムを作れなかった元にもなった?
  • 西洋の学問はプラトンの注釈(ホワイトヘッド)とすると、東洋の学問は論語に注釈をつける積み重ねだった?
  • 論語は儒教の第一経典ではない
    • 第一経典は「書」こと「書経」
      • いにしえの天子の言葉と伝承を収録した書物
    • 論語は副読本の扱い
  • 宋代、新儒教
    • 朱子、王陽明
    • 四書五経を決め、論語を含む四書を入門テキストに
  • 孔子の時代には個人著作という考えはなかった
    • 書物は神話や伝説
    • 個人の思想を書物で伝えるようになるのは戦国時代から
  • 諸子百家の大半は孔子より後の時代
    • 孔子は原始的
  • 孔子、釈迦、第二イザヤ(旧約聖書)はほぼ同じ時代
  • 原「論語」は「伝」とだけ呼ばれていた
    • 史記でも論語というタイトルは使っていない
    • 「魯論」「斉論」「古論」の3種類あった
    • 論語というタイトルは漢の武帝の時代に使われ始め、前漢末に定着
      • 魯論を土台に斉論を参考に作られた「張侯論」を、古論と校合して「論語」ができた
    • 論語は前半と後半でトーンも変わり、前半と後半との重複も多い
  • 孔子は史記において世家に入れられており破格の扱い
    • 孔子は歴史書である春秋の編集で知られていた
    • 孔子の伝記としては論語より史記のほうが詳細(ただし400年後)
  • 孔子の得意分野は有職故実
  • タカ派の孔子
    • 夾谷の会
    • 蒲で孔子が拘留されたときに門人が力戦
    • 孔子十哲である魯の冉有が斉軍に勝利したとき「戦争を孔子に学んだ」と答えた
  • 孔子の時代である古代は、血縁が最重要視されていたため、志縁集団である孔子一門は異端視されていた?
    • 儒教独特の師弟関係
  • 儒教が中国を支配するようになった経緯は、必然というより偶然の要素が大きい
  • 孔子の最期は、ほかの古代の偉人とは違い、嘆きながら亡くなった
  • 「不惑」の言葉は、最も解釈が分かれる
  • 説得や商売の上手な子貢が6年も墓の前で無為に過ごしていたとは考えにくい。孔子を顕彰するための布石を打っていた?
  • 「ロンゴ」という音は流連系と堅固系の組みあわせ
    • 擬音感が孔子の教育観に一致する
  • 「仁」の音は柔く、「義」は固い。「仁義」とセットにしたのは戦国時代の孟子
  • 現代中国語より日本語の音読みのほうが、論語の擬音感に近い?
  • 論語は古代の文章でわかりづらい
    • 語彙が少なく、文法が単純で、形容詞も少ない
    • 文章は口伝えの補助である半完成品
  • 区切りで解釈が変わる
    • 「馬を問わず」か「馬を問う」か
    • 「まれに問う、利と命と仁と」か「まれに利を言う、命と与にし、仁と与にす」か
    • 「民は之を由らしむべし、之を知らしむべからず」か「民の使うべきは之を由らしめよ。使うべからずは之を知らしめよ」か「民、可ならば、之を由らしむ。不可ならば、之を知らしむ」か
      • 中国のインターネット上では、2番目か3番目であったはずという説が流行
  • 論語の中には、夫人の呼び方やキジが飛んだ話など、わりとどうでもいい話も入っている
    • 錯簡説も
  • どうとでも解釈できることから、孔子を評価する人も批判する人も論語の同じ部分を根拠にする
  • 古代日本に論語が伝わった時期とされる話は、千字文とセットになっている
    • 確認されている日本最古の論語は、7世紀ごろの習字木簡
  • 律令時代の日本では、漢文レベルが低かったぶん、論語が重要視された
    • 政治や文学には反映された形跡はない
  • 日本で最初に論語を実践したのは加藤清正
  • 家康の策により、江戸時代の武士は論語を含む素読が教養となった
  • 江戸幕府は、儒学を奨励したが、儒教を警戒した
    • 儒学者も仏教式の葬儀を強要された
  • 江戸の出版文化:町人も四書五経に触れた
    • 江戸時代後期になると、下級武士や民衆が向上心として論語を学んだ
  • 論語と倒幕
    • 幕末の志士の思考力も論語の素読から生まれた?
    • 「志縁集団」大塩平八郎の乱
    • 水戸学
    • 「師弟カルト集団」松下村塾
    • 「儒将」西郷隆盛
  • 論語が真の意味での国民的書物になったのは明治以降
    • 渋沢栄一:「士魂商才」
    • 零戦を設計した堀越次郎:「和して同せず」

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