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読書やコンピュータなどに関するメモ

「爆笑問題のニッポンの教養」21~30巻

 Wikipediaの「おまかせ表示」のようにして、ばらばらな分野の研究者の話を気軽に読めるシリーズ。研究そのものというより、新しい研究のジャンルや切り口に出会えるのが楽しい。って、TVでは見てないんだけど。

 以下、21~30巻のメモ。

21. 「体内時計」は今何時?

 システム生物学の上田泰己氏。体内時計のメカニズムについて紹介。全身の時計細胞とか、それを脳の視交叉上核が制御するとか、時計細胞は温度の影響を受けないとか。白夜の地域ではウツの人が多くて冬眠のようだとか。

22. 科学的分身の術

 バーチャルリアリティ学の舘すすむ氏。自分がロボットの視点になったかように体験し操縦する「テレイグジスタンス」を紹介。応用として、操縦するロボットに操縦者の顔や表情を映してみせる実験や、光学迷彩、360度の立体映像、空の箱を振ると玉が入っているように感じされる装置などが登場した。

23. 平和は闘いだ

爆笑問題のニッポンの教養 平和は闘いだ 平和構築学 (爆笑問題のニッポンの教養 23)
田中 裕二 太田 光 伊勢崎 賢治
講談社
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 平和構築学の伊勢賢治氏。このシリーズで予想していなかった話だったので、非常に面白かった。

 国連で紛争地域を武装解除する活動(DDR)を続けていて、学問というより現場の色が強い話。本の帯に「何が「正義」か」とあり、インタビューする側もそういう話をふってくるんだけど、氏自身はむしろ「正義とか机上の理屈はいいから、少しでも現実の問題を解決する」という徹底したリアリストの立場から話していた。あと、平和構築学というのは、ビジネススクールみたいなやりかたなんだろうか。

  • インドのスラム街の住民運動
    • 学生時代
    • 40万人の住民組織
    • イスラムもヒンズーも
      • 宗教にはふみこまない。日常の生活上の問題を顕在化させる
      • 両派から1人ずつ出してリーダーにする。自分たちはリーダーにならない
    • インド政府から追い出された
  • シエラレオネ(内戦直前)
    • ヨーロッパ系国際NGO
      • 基本的に給料がいい
    • 10年間、一家総出でアフリカ
      • シエラレオネ、ケニア、エチオピア
    • 治安が日に日に悪化
    • 紛争監視としてのジャーナリズム
  • 東ティモール
    • 国連暫定政権の県知事
  • アフガニスタン
    • 日本政府代表(非武装)
    • 北部同盟を武装解除
      • 軍閥の粛清
      • 「日本人にしかできなかったこと」
    • 自衛隊や各国軍かななる軍事監視団を組織
      • 武装勢力間の信頼熟成
    • 米国はアフガン戦=イラク戦、独仏はアフガン戦協力イラク戦反対、日本はその逆
  • シエラレオネ(内戦終結のため)
    • 国連幹部
    • 民兵の武装解除
    • 国連ではなく米国が仲介
      • 戦争犯罪人を恩赦(ロメ合意)
        • 「50万人を殺した人間を許した」
      • それに乗じて国連が武装解除
        • 「正義」のダブルスタンダード
  • 「憲法9条は国益」
    • 「(和平交渉のための)武力は、どうしても否定できない」
      • ロメオ・ダレールがルワンダの虐殺を前に何もできなかった事例
    • 国連平和維持軍の拠出国は、発展途上国が多い
      • 兵力が余っていて、リインバースメント(報奨金が稼げる)
      • 米英などは、政治的なリスクを考えて金だけ出す方向

24. 「脱出したい」のココロ

 海洋生命科学の塚本勝巳氏。長い間謎とされていたウナギの産卵地を特定した。グアム島の北西。ただし、生まれてから2日後のプレレプトセファルスは発見したが、まだ天然の鰻の卵は誰も見ていないとか。海で1年(卵→レプトセファルス→シラスウナギ)、川で10年(クロコ→黄ウナギ→銀ウナギ)。また、回遊現象の説明として、個体間距離が近くなりすぎると反発性が起きるとか。

 アフリカに幻の巨大ウナギ「ラビアータ」を獲りに行く話もあり。助手さんが旅のエピソードを「アフリカにょろり旅」という本にまとめ、講談社エッセイ賞を受賞。ガタゴト道をトラックの荷台で数十センチも飛び跳ねながら行く部分が引用されていた。面白そう。

25. 人類の希望は美美美

爆笑問題のニッポンの教養 人類の希望は美美美 美学 (爆笑問題のニッポンの教養 25)
佐々木 健一 太田 光 田中 裕二
講談社
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 美学の佐々木健一氏。

  • 西洋の「美学」(art)は18世紀にバウムガルテンが提唱
    • それまで美術や音楽というものはあったが、芸術の概念はなかった
    • 複数形のartsは学問や技能なども指す
    • 手を使う絵画のartsは頭を使う詩人のartsより低いものとされていた
  • 近代芸術の3段階
    • オフィシャルな芸術:システィナ礼拝堂の壁画やミケランジェロの壁画など
    • プライベートなサロンのための芸術:18世紀後半、ロココの時代。絵画や音楽など
    • 個人的な芸術:モーツァルトはサロンの音楽から個人的な音楽へ変化
      • ハイブローな地位に
  • アヴァンギャルド、ポップアート
    • 美からの逸脱(個性重視)、芸術の権威への反抗
      • いちど認められると権威になるというパラドックス
    • 「芸術であるか否かはアートワールドが決める」状況
      • ルネサンス期から続くもの
  • 芸術の終焉:一般人がつくることを楽しむ作品?

26. みんなの憲法入門

爆笑問題のニッポンの教養 みんなの憲法入門 憲法学 (爆笑問題のニッポンの教養 26)
長谷部 恭男 田中 裕二 太田 光
講談社
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 憲法学の長谷川恭男氏。憲法や法律は、個人の価値観に触れずに社会のルールを作るもの。みんなが100%納得はいかないとしてもまあまあ折りあいがつくろころを探していくのが法律学の立場で、科学ではない。だから進歩はしない、決着もない。と(文面の印象では)飄々と語っていたのが興味深かった。

27. 脳を創る男

爆笑問題のニッポンの教養 脳を創る男 カオス工学 (爆笑問題のニッポンの教養 27)
太田 光 合原 一幸 田中 裕二
講談社
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 カオス工学の合原一幸氏。カオス理論をバックボーンとしたニューラルネットワークにより、脳の挙動に近いコンピュータを作るという研究。前半はカオス理論の基礎を具体例で説明。後半では、カオス脳がパズルを、確実じゃないけど人間よりは賢く解くようすをデモしていた。

 サイドストーリーとして、昔はイカを水槽で飼えなかったのが、脳や神経系の挙動を研究するために松本元氏が3年半かけて飼育法を開発したというのが、へぇだった。

28. スポ根なんていらない?

 スポーツ心理学の高妻容一氏。精神的なコンディションをベストに持っていく方法をいくつか紹介。「2流選手は0点から100点の間で力を出し、1流選手は50点から100点の間でコンスタンスに力を出す」ということで、ベストな状態「ゾーン」をキープするのがうまい例としてイチローが何度か例に出されていた。

29. 検索エンジンは脳の夢を見る

 連想情報学の高野明彦氏。連想検索は、キーワードだけではなくテーマなど内容の関連性を使って一連の情報を検索する手法。さまざまな新書をキーワードだけではなく関連性も含めて検索する「新書マップ」、神保町のポータルサイトから古書を深いところで検索できる「BOOK TOWN じんぼう」、いくつものWebデータベースを連想検索でメタサーチできる「想-IMAGINE Book Search」が紹介された。

 幕間では高野氏が神保町の本屋を探索。ちなみに、本書によると太田光はMac+Firefoxのユーザーだそうな。

30. 我働く ゆえに幸あり?

 教育社会学の本田由紀氏。「「ニート」って言うな!」の著者。最初に正社員にならないと後から回復しづらい社会状況に就職氷河期が来たのが多数のいわゆるニートの背景であるのに対し、イメージだけが増幅して「近頃の若い者はたるんでいる」式に論じるのがニート論である、というのが氏の問題提起。

 で、本田氏が「「おれは一時期部屋にひきこもっていたけど、いまはこうやって成功者になってるぜ!」みたいなことを言いに来るんだろうなと思ってた」というように、就職とは逆方向である芸人の爆笑問題2人なんだけど、かえって斜めじゃなくて正面から議論になっていた。

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