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「貸本小説」

貸本小説
貸本小説
posted with amazlet at 08.10.28
末永 昭二
アスペクト
売り上げランキング: 392682

 オビの惹句がすばらしすぎる。

無責任な奇想、ちゃちな人間描写、
知られざる傑作を詳細解説

ヘソにホクロのある兄を探すギョーザ娘が7人の恋人を手玉に取る「純情青ひげ娘」/源氏に敗れた平氏が、カニに変身して壇ノ浦の海底でロカビリーパーティを開く「壇ノ浦〇番地」/女になりたい男と、男になりたい女が皇居前でストリーキングする「シスター君とブラザー娘」/自分の父親が300余歳であることを信じてもらうために、息子が300年分の日記の出版交渉をする「快男児街を行く」/前半はホームドラマ、後半はなぜか女子大生が渋谷で市街戦を始める「我が家の妖精」他

 というぐあいに、昭和30年代に全盛を迎えて、消えていった「貸本小説」と、その作家たちを紹介する本。貸本屋では書店売りの本も扱っていたけど、そのうちレンタル専用の本を「貸本小説」としているとのこと。

 作品や作者について詳細に解説しているのはもちろんのこと、当時の貸本小説の立ち位置やビジネスモデル、衰退の様子についても説明している。「はじめに」のサブタイトルが「楽しんで、あとは忘れてぐっすり眠ってもらう」とあるように、TVや映画に金を払えない非インテリの若者向けに、まったくの娯楽として書かれた本。増刷は無縁で、とにかく数をこなすために校正もせず、植字の段階で「?」が付いている部分がそのまま印刷されてしまうというぐらい。そうした自転車操業の中から、上記のようなヤケッパチの奇想も生まれてくる。とはいえ、基本路線は健全な娯楽路線。やがて、貸本という形態から必然的に流通がサチってくるうえに、高度経済成長でTVや本が買えるようになると衰退して消滅していく。

 本書の中で、当時の貸本小説の装丁に触れた部分を読むと、白いカバーと背に筆っぽい字で書かれたタイトルと、まさに本書はそのままであるようだ。奥付に検印スペースもあるし。表紙イラストは貸本小説の定番、堂昌一氏。しまいには、当時の本の焼けぐあいを再現すべく、そういう紙を選んでいるとのこと。

 ちなみに、上記の「純情青ひげ娘」の作者は、本書によると、のちの童門冬二である。

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