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「眠れない一族」

眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎
ダニエル T.マックス
紀伊國屋書店
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 イタリアのヴェネト州のある一族は、代々、遺伝性の病気に苦しめられていた。中年期ごろから発病し、眠れなくなって極度に疲労して、自分がどうなっているかわかった状態で死に至るという、恐ろしい病気だ。

 この正体不明の致死性家族性不眠症(FFI)を中心に、さまざまなプリオン病にまつわるできごとを語る医学ドキュメンタリー。著者自身も「タンパク質が間違った折り畳まれ方をした」ことによる病気を持っている一人とのことで、プリオン病患者に対して仲間意識と、それでも野次馬としての罪悪感とを持ちながら、取材していく。

 読み物として、登場人物像がくっきりと描かれ、キャラが立っているのが面白かった。文明嫌いと少年愛の性癖を持ったノーベル賞受賞者カールトン・ガイジュシック、極端に上昇指向が強く金儲けとスタンドプレーと職権濫用を好み人使いの荒いスタンリー・プルジナー、FFIの一族の一人で派手なキャラのシルヴァーノなど、登場する人物がそれぞれ印象的だ。ちなみに、「プリオン」というのはプロジナーがマーケティング的に考案した用語だそうな。

 一方、プリオン病自体について広く取材した結果か、著者は事実に対して謙虚な立場をとっており、わからないことはわからないと書いている。たとえばクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)とFFIとの関連性を勝手に結論づけたりということはしていない。ある意味、散漫なままにまかせている部分がある。その意味で、本書の帯にある「食人習慣がすべての始まりだった?!」というキャッチコピーは、著者のスタンスに反する気がする(本書ではプリオン病が80万年前の食人習慣の証拠となるという話になっており、その逆ではない)。

 ちなみに、ご多分にもれず、2008年春ごろの「プレジデント」誌の読書特集で惹かれて本書を買ったのだけど、ようやく読んだ。

 以下、本書からのメモ。

  • 致死性家族性不眠症(FFI):18世紀~、イタリア
    • 睡眠がとれなくなり、極度に疲弊
    • 思考力が残る場合も多いのが酷
  • スクレイピー:18世紀~、イギリス
    • 羊の病気
    • 食用羊を大型化するため、近親交配を使った品種改良(ロバート・ベイクウェル)
      • マルサスに「人口論」を改訂させた
    • 羊毛用にスペインのメリノ種の血を残すため、近親交配を使った品種改良(ジョセフ・バンクス)
    • オーストラリアで羊が飼育されるようになると、ヨーロッパの羊産業は崩壊
      • 人工的な品種改良が求められなくなり、スクレイピーに抗生のある血統が再び優勢に
  • クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD):1910年代~、ドイツ
  • クールー:1950年代~、パプアニューギニア
    • 比較的新しい病気
    • フォレ族:ニューギニア島中央部の高地
      • オーストラリア人が来たら急速に生活が変わる、貨物崇拝(カーゴカルト)
      • 同性愛的な儀式
    • 食人の習慣:ただし50年程度の歴史、クールーと関係?
      • 食人の習慣をやめたらクールーが激減
      • ただし、いまでもクールーで死者は出続けている
  • 「奇妙な遅効性ウイルス」:1960年代
    • クールーとCJDの類似性の発見(イギリス)
    • スクレイピーの感染の発見(スコットランド)
    • 「スクレイピーの病原体は死なない」
  • プルジナーの研究プロジェクト:1970年代~、USA
    • 化学者出身
    • 病原性はウイルスではなくタンパク質に備わっている
    • 一般向けにわかりやすい用語を:prion(small proteinaceous infectious partile)
  • 狂牛病(BSE):1980年代~、イギリス~
    • スタガーズ(よろめく牛)
    • 論文から、スクレイピーとの関連を示す部分が削除される
    • ケーキ(高タンパク濃厚飼料、肉骨粉)
      • 糖蜜を入れて甘くし、牛に食べさせる
      • 病気などで牧場で死んだほかの家畜の肉がタンパク源のひとつ
      • 19世紀、南米のなめし革工場で牛肉が捨てられていた
        • 腐らないよう牛肉の抽出物を固めてヨーロッパに運ぶ技術が登場(フォン・リービッヒ)
    • BSEは人間に害がないという農漁食料省の判断
    • 酪農家のマチズモ
    • 機械的回収肉
      • 脊髄に近い部分から高圧の水で牛肉をはぎとり、臓器も含めてスープ状に
      • ハンバーガーの主成分
  • プリオンだけが感染性をもつタンパク質ではない
  • ヘテロ接合体とホモ接合体
    • ホモ接合体の人がBSEに感染しやすい
    • イギリスではヘテロ接合体が多い
      • 食人によりCJDが起こりホモ接合体が淘汰された?
    • 日本人はホモ接合体が多い

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