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「外注される戦争」

 イラクで元自衛官の民間軍事会社(PMC)員が殺害された事件が起きてから、日本でもPMCが知られるようになった。本書は、それらPMCを解説する本。

 大所高所から産軍共同がケシカランとか論じる本ではなくて、PMCのビジネス内容や現場の様子、動向などを、ひとつのビジネスとして、綿密な取材を元に描いている。中でも、ジャーナリスト向けセキュリティ訓練は、死と背中合わせの戦場を疑似体験したレポートで、出色の読みものだ。もっとも、取材や分析が綿密すぎて、著者はPMCのコンサルタントとしてスカウトされてしまったそうだ。巻末には、代表的なPMCの紹介を掲載。

外注される戦争―民間軍事会社の正体
菅原 出
草思社 (2007/03/24)
売り上げランキング: 47762
  • PMCの業務
    • 一口にPMCといっても、会社ごとに分野が違う
    • 後方支援を請け負う会社がほとんど
    • 要人や施設などの警備
    • 軍事訓練
    • 人質解放交渉
    • ロジスティックス
    • 兵器のメンテナンス
    • インテリジェンス活動(戦争広告代理店を含む)
    • 収容所での尋問
    • 地雷処理
    • 現地の文民警察
    • 一部には、前線での戦闘に参加する会社も
  • 米軍の民間委託の流れができてきたのはベトナム戦争から
    • 冷戦集結により、軍の人員削減と紛争増加が起き、民間委託が進んだ
    • 軍からリストラされた軍人がPMCに
  • イラク戦争でPMCバブルに
    • イラクに送った人員は、アメリカ以外の1国よりPMCのほうが多い
    • 米軍はもはや、PMCなしに活動することは不可能とまでいわれている
    • 直接の戦闘だけではなく、テロの脅威への対策が必要
    • イラクの武装勢力にとって、誘拐は有力な「ビジネス」
    • 経験なしに参入する、ぽっと出の会社も多い
      • レベルやモラルの低い会社も
      • 捕虜虐待や、銃の乱射など
      • 利益に走りすぎて派遣人員の安全性が軽視されることも
      • PMCどうしで相互に危険などの情報を交換する業界団体ROCが発足
    • 元警察官
    • 元トラック野郎
    • フィジーやフィリピン、ネパールなどからの出稼ぎ
  • エリート限定採用で差別化する会社も
  • 特殊部隊出身者は引っ張りだこ
  • 元自衛官の所属していた会社はROC非加入
  • もともとは、特殊部隊出身者によるインナーサークル的性格(顔見知り)
    • 民間のほうがより実践的な戦闘技術が学べる、と特殊部隊からの人材流出が続く
  • CIAをPMCが警護するケースや、正規軍をPMCが訓練するケースも
  • 政治的に米軍を派遣しにくい国に、米政府の依頼でPMCを送るケース
  • ロイズのリスク管理のため、警備や人質解放交渉を請け負うPMCを紹介するケース

 読んでいて、民間の軍事インストラクターを主人公にした「パイナップルARMY」や、特殊部隊出身のロイズ調査員を主人公にした「MASTERキートン」といったマンガを連想した。

パイナップルARMY (Operation 1) (小学館文庫)
工藤 かずや 浦沢 直樹
小学館 (1995/11)
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MASTERキートン (1) (ビッグコミックスワイド)
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小学館 (1998/11)

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