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「論文捏造」

 高温超電導の研究でノーベル賞目前と言われた科学者が、実はすべての論文を捏造していた、という事件があった。本書は、この事件を追跡してたドキュメンタリーだ(元はNHKのドキュメンタリー番組)。スリリングかつ緻密な取材で読ませる。

 一連の論文が捏造であることが、なかなか見破られなかった事情を、取材班は追っていく。

  • チームリーダーの名声と権威
  • 複数の素材を用いた(と発表した)ことにより、両分野に通じた研究者がなかった
  • 追試がうまくいかない理由を研究者たちが自分のやりかたが悪いと思ってしまった
  • 「サイエンス」誌や「ネイチャー」誌では内容をチェックしておらず、互いの競争により競って文を掲載した。レフェリーが疑念を出しても対応はなかった
  • ベル研が経営危機で派手な成果を演出した
  • 米国とドイツで実験をした(と発表した)ことで、誰も実験の様子を見ていなかった

 著者の視点は、捏造した本人より、その周囲に批判的な目を向けている。本人への取材の難しさもあったのかもしれないが。

 本書でも触れられているように、追試にかけてキャリアをふいにした若い研究者などは、捏造を怨んでるだろうなと思う。

論文捏造 (中公新書ラクレ)
村松 秀
中央公論新社 (2006/09)
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