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「決戦! 賤ヶ岳」「『決戦!賤ヶ岳』七本槍ドラフト軍議」

 複数の作家が1つの合戦についてそれぞれ1人ずつの武将を主人公に書く短編集シリーズの新作。今回はそのフォーマットにもとづき、賤ヶ岳の戦いを舞台に「賤ヶ岳の七本槍」の7人を描く。ちなみに著者陣もアンダー50に。

 賤ヶ岳の七本槍のメンバーは、だいたい20才そこそこで、名家の出とかでもないので、これまでのシリーズとは違い若手の必死の活躍という感が強い。加藤清正を描いた木下昌輝「槍よ、愚直なれ」は、特にそんな感じの青っぽい姿を描く。

 賤ヶ岳の七本槍は(いわゆる「○○将」というの全般だが)、秀吉の部下を誇示するという意味が強く、特に加藤清正や福島正則を売り出したものだと言われ、福島正則が「脇坂などといっしょにするな」と言ったとかなんとか。本書でも、糟屋武則を描いた「糟屋助右衛門の武功」、脇坂安治を描いた「しつこい男」、平野長泰を描いた「権平の推理」、加藤嘉明を描いた「孫六の刀」あたりでは、そのへんのコンプレックスが扱われている。

 一方、「ひとしずく」は題材をひねって、晩年の福島正則の回想の形式をとる。また、片桐且元を描いた「器」は、浅井家時代から大坂の陣までの鬱屈とした気持ちがつづられる。片桐さん……。

 そして全作の背後にいる秀吉の姿。今回は秀吉側の武将ばかりを扱っているので、柴田側は敵勢として描かれていて、特に拝郷五左衛門はいろいろな作品に登場する。また、七本槍の8人目だか9人目だかの石川兵助の兜エピは、「権平の推理」「孫六の刀」で扱われている。あと、「槍よ、愚直なれ」の最後のネタは、大塩金右衛門の別のエピをひねったものか。

 「決戦! 賤ヶ岳」の執筆の裏側というか、担当決めの話しあいを収録した「小説現代」の記事「『決戦!賤ヶ岳』七本槍ドラフト軍議」もKindleのほうで公開されていた(0円)。

 七本槍に関する話やら、作品のアイデアやらと、「決戦! 賤ヶ岳」を読んだあとに読むと興味深い。マイナー勢に人気が集まって、清正が最初出てこないとか、「七本槍は賤ヶ岳の後が面白い」という発言とか。事前予想では「七本槍で思い出せない人」(三谷幸喜)こと平野長泰が7位だったけど、さて?

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