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読書やコンピュータなどに関するメモ

「テトリス・エフェクト」

 テトリスは1980年代末ごろに日本に登場した。当時ソ連(ソビエト連邦)がまだあったころで、その鉄のカーテンの向こうからやってきたということで秘密めいた印象を持ったものだ。

 1990年の「ファミコン通信」の付録で、昭和の子供雑誌のスパイ絵物語っぽいレトロ(当時すでに)なテイストで「アレクセイ・パジトノフの秘密」というパロディ記事があって、周囲の友人とウケまくっていた。ググってみたら、その記事をまるごと紹介している人がいて、あーこれだこれだと。

 石原豪人先生の絵だったのね、知らなかった。

 さて、本書はテトリスがソ連から西側諸国で発売されるまでの騒動を中心に描いたノンフィクションだ。西側のビジネスマンと、ソ連のアレクセイ・パジトノフの両側から話が進行する。その部分がメインなので、テトリス開発までの道のりも描かれているけど、時系列は前後する。

 現在知られているとおり、テトリスのライセンスは任天堂のルートと、ミラーソフト/アタリゲームズ/テンゲンのルートの2つがあって、訴訟にもなった。そのへんの、スーパープログラマー兼山師たちと、資本主義の常識を知らないソ連官僚との、駆け引きやら単なる無知やらで右往左往する三つ巴の争いと、当時のソ連の社会状況などが面白かった。

 任天堂のエージェントとなったのが、ヘンク・ロジャース。アムステルダムで生まれ、ニューヨークで育ち、宝石商の父親の引越しにともない一度日本に移住するも馴染めずにハワイで大学生活、しかし日本人の彼女ができて再び日本に移ってソフトウェア開発を仕事にし、日本初のRPG「ブラックオニキス」(アラフィフ以上の元パソコン少年なら知ってると思う)を開発した。

 それに対するは、西側のビジネスマンで初めてテトリスに興味を持った男ロバート・スタイン。ハンガリーで生まれて第2次大戦で難民としてイギリスに渡り、セールスマンとしてテクノロジー分野の商才を発揮。初期のパソコンでソフトウェアが必要になることを見抜いて、母国ハンガリーで開発されたソフトウェアを安く買って米国などの会社に売る(ボーランドが販売した「クアトロ・プロ」など)。その流れで、ハンガリー人が遊んでいたテトリスに目をつけた。

 そのバックとなるミラーソフトは、アクの強いメディア王ロバート・マクスウェルの会社。マクスウェルはチェコスロバキアに生まれ、1940年にナチスドイツから逃げるようにイギリスに移住。デイリー・ミラー新聞などを傘下に持つ。

 ロバートの息子のケヴィン・マクスウェルは、父親に対してコンプレックスを持ち、成果をアピールしたいがためにテトリスのビジネスに関わる。

 なお、タイトルの「テトリス・エフェクト」とは、テトリスの中毒性を表す言葉(Wikipediaでは「テトリス効果」)で、実際に医学の文献でも使われている言葉だそうな。でも語源は、ジャーナリストのジェフリー・ゴールドスミスが1週間の間テトリス中毒になった経験を「WIRED」に書いたレポート記事からだという。そういった事例や、脳のどの部分を活性化するかといった話が、本書でも幕間の「BONUS STAGE」で語られている。

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