「Airbnb Story」
シリコンバレーで成功したITベンチャーには珍しく、Airbnbはデザイナー2人が創業したという。後から1人のエンジニアが参加して、3人の創業者となった。
「Airbnb」という名前も、もともと一室にエアマットだけ用意して泊める「エアベッド&ブラックファスト」(bed and breakfastは簡易ホテル、民宿)なのだそうだ。けっこうある時期まで、エアマットにこだわっていたり、ホストとゲストの交流にこだわっていたりしたとか。でも、そのへんを変えてきたのも成功要因の一つらしい。
もともとサンフランシスコでデザイナーのカンファレンスが開かれたときに、参加者向けに自分の部屋に泊めるサービスをしたのが始まりだそうだ。そこから一般的なサービスとして始め、オバマが大統領になるときの民主党大会のときにも少し盛り上がったとか。
でも特別なときしか利用が伸びず、シリアルに広告を貼って宣伝したりと苦しい策をやっていた。Yコンビネーターの面接でもポール・グレアムの反応は薄かったのだけど、そのシリアルを出して売り込んで合格したとか。なんでも、その泥臭い姿勢が認められたんだとか。ポール・グレアムいわく「君たちゴキブリみたいだ、絶対に死なない」。
そのとおり、最初はかなり厳しい経営状態だったそうだけど、グロースハックでコツコツと工夫を積み重ねて成功にいたったとか。あと、Airbnbのエコシステムとして、たとえばホストを助ける会社なども起こっているところも、成長を支えているようだ。
創業者3人の性格がそれぞれ違ったところも成功要因の1つらしい。チェシーは大変な勉強家で、経営のシロウトから始まり、さまざまな本を読みまくって、さらにさまざまな大物に会いまくってアドバイスを受けたという。Appleのジョナサン・アイブ、Facebookのマーク・ザッカーバーグ、Googleシェリル・サンドバーグ、eBayのジョン・ドナヒュー、Salesforceのマーク・ベニオフなどだけでなく、元CIA長官やシルク・ドゥ・ソレイユの経営陣、さらにはウォレン・バフェットにもアポをとって話をしたとか。本書では、そのへんの泥臭いバイタリティが成功の大きな要因として語られている。
もう1人のゲビアは完璧主義者で、それが最初はよくても、社員数が増えるにしたがって社内の不満がたまってきたという。幸いそれを自覚することができて、「象、死んだ魚、嘔吐」という3つの枠で社員との対話を改善したとか。
エンジニアのプレチャージクは、エンジニアであると同時にビジネス的なセンスももっていて、グロースハックもプレチャージクが持ち込んだとか。性格テストでは、経営メンバーの中で一番はずれていて、それがいい結果をもたらしていると診断されたという。
ちなみに、プレチャージクがガールフレンド(後の妻)の就職(医師)にしたがってボストンに引っ越してリモート勤務していたものの、ちょうど最初の大型投資を受けたタイミングでそのガールフレンドのスタンフォードへの転勤が決まったというエピソードは、ちょっとできすぎかも(笑)。
本書の構成では、サービスの便利さや企業の努力などのポジティブな話の章と、悪徳ゲストや悪徳ホストによる問題の章が交互に配置されているなと思った。印象を偏らせないような工夫なのかもしれない。
あと、Airbnbホストが集まる公式イベントに目玉講演者として近藤麻理恵さんが登場した話が出てきて、話に聞くように米国の、Airbnbに関わるような層で人気なんだなと思った。
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