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「「日本スゴイ」のディストピア」

「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜
早川 タダノリ
青弓社
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 本書によると、満州事変の後に「日本スゴイ」本の大ブームがあったとか。その玉石混淆な中から、「歴史のゴミ箱に捨て置かれたようなクラダナイ本、知っていても役に立たない本、人類の運命にとってはどうでもいい本」を厳選して紹介している本だ。

 著者の意図は、現代のTVや書籍の「日本スゴイ」ネタブームの批判にあるようだけど、そうした番組や本はあまり見てないのでよくわからない。単純に、おバカ本の紹介として面白おかしく読んだ。

 キワモノ本としては、「皇国日本教育の建現」がブッ飛んでいた。「国民としての自我意識とは宇宙我」といった言葉のもと、まったく意味のわからない図版が並んでいるらしい。どう見ても教育理論ではなくトンデモ宇宙体系(プレアデスと高田馬場がワームホールでつながっているような)の本だ。

 今から見ると能天気なネタとしては、「日本人は米を食べているから粘り強い」とか「魚を食うから日本は強い」とかいった本が取り上げられている。「お墓を大切にするから日本は栄える」という霊感商法みたいなことを言っている本もある。

 教育方面では「大君は日本の家長、学校の教師は学級の家長」とかドサクサにまぎれて自分の権威をもちあげるものとか。今も昔も些細なしきたりにこだわる面があって、弁当の食べ方について「弁当箱は中央に、風呂敷は左、茶碗は右に」と細かに書いたり、皇室の御真影の順序について議論したり、掃除訓練の意義を「皇国の興隆を決する大東亜戦争の真の勝利」に求めたり。

 労働方面では、「わが国の労働は、皇国民たる労働者のなす労働であるが故に、その根底に於いて仕奉を在り方とするもの以外ではあり得ない」とか、「自分の働きに対して報酬を云々するのでは、奉公の意味もなくなります」とか、今も言ってる人いそうなブラックな言説が出てくる。

 当時の日本が見えてくるものも。「昭和国民作法書」では、「用便は庭や路傍にすべきではない」と教えていて、当時の日本では男女を問わず道端で小便をするのがあたりまえだったことがわかる。内閣発行の「写真週報」では、「切符を買うのに順序を守れ」「社内にゴミを捨てるな」などと書かれていて、守られていなかったんだなあと思わせるし、その呼び掛けに「東亜の盟主をもって任ずる日本国民として」というのも大時代的だ。「日本スゴイ」本とは違うけど、「産業青少年不良化防止対策」「徴用工員錬成記録」から引用された犯罪件数や事例を見ると、本当に昔の日本は少年犯罪が多かったんだなあと思う。

 さすがに本書で取り上げたのは最底辺の言説だろうと願うけど、今も昔も、日本も外国も、TVも書籍もネットも、みんな流行に全力で乗っかって流され、後から見るとバカだったなあと思われるんだなあと(適当)。

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