本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「決戦! 関ヶ原」「決戦! 大坂城」

決戦!関ヶ原
決戦!関ヶ原
posted with amazlet at 15.08.23
葉室 麟 冲方 丁 伊東 潤 上田 秀人 天野 純希 矢野 隆 吉川 永青
講談社
売り上げランキング: 10,379
決戦!大坂城
決戦!大坂城
posted with amazlet at 15.08.23
葉室 麟 冲方 丁 伊東 潤 天野 純希 富樫 倫太郎 乾 緑郎 木下 昌輝
講談社
売り上げランキング: 7,225

 歴史小説の一つのタイプとして、史実の言動や行動に(あまり)矛盾しない中で、新しい人物像や裏側をフィクションとして作ってみせる楽しみがある。それが進むと、上杉謙信が女人だったり、エイブラハム・リンカーンがヴァンパイアハンターだったりしちゃうんだけど。

 それはさておき、この2冊は、関ヶ原の戦いと大坂城の陣について、気鋭の歴史小説家が集まって書いた(ほぼ)書きおろしアンソロジー。いずれも生きのいい短編が並んでいて、それぞれの作家の作品を読みたくなった。

 特に、残念な人物と言われている人達について「実は……」といった話を作ってみせるものが多く、武功を上げた武将よりちょっと横の人物が多い。

 以下ネタばれアリアリで書くので、未読の方はご注意を。なお、ここでは(関)は「決戦! 関ヶ原」、(大)は「決戦! 大坂城」とする。

 人物像の意外性を描いた作品としては、冲方丁の「真紅の米」(関)と「黄金児」(大)が代表だ。前者は小早川秀秋、後者は豊臣秀頼と、ボンクラのイメージが定着しているがそれぞれの戦のキーとなった人物を、実は英明な人物であったとして描く。

 同様に、生まれながらに微妙な立場の人達も。天野純希の「有楽斎の城」(関)は、信長の弟で茶人で卑怯者イメージのある織田有楽斎の思いを描く。上田秀人の「無為秀家」(関)は、は、宇喜多秀家を、“弟”たる小早川秀秋への気持ちを中心に描いている。天野純希の「忠直の檻」(大)は、徳川家で冷遇されている松平忠直の揺れる心を描く。

 背景の意外性は、伊東潤の「人を致して」(関)。家康と石田三成が、不満勢力を削ぐために裏でしめし合わせ、さらにその裏で互いに謀略をめぐらして相手を倒そうとする物語で、そうした内容がタイトルに示されている。

 その一方で、葉室麟の「孤狼なり」(関)は、石田三成があの人物と組むという、秘められた本当の狙いを描く。

 ストーリーの意外性は、木下昌輝の「日ノ本一の兵」(大)。真田信繁が真田幸村を立て、幸村で“日ノ本一の兵”の命を狙う話だ。

 また、富樫倫太郎の「十万両を食う」(大)は、その真田にたまたま協力することになった近江屋伊三郎の商人魂を描く。

 そのほか、吉川永青の「笹を噛ませよ」(関)は、関ヶ原での可児才蔵の大活躍は実は……という裏話。矢野隆の「丸に十文字」(関)は、「ドリフターズ」でもおなじみの島津義弘の正面突破を、あくまで家康狙いとして描く。伊東潤の「男が立たぬ」(大)は、大坂白に潜入した福島正守と、それを助けた坂崎直盛を、“男が立つ”を行動原理に描く。葉室麟の「鳳凰記」(大)は、淀殿が朝廷のために戦ったものとした話。乾緑郎の「五霊戦鬼」(大)は、水野勝成の秘薬を焦点に、宮本武蔵が戦う。

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://emasaka.blog65.fc2.com/tb.php/1309-4e0fbe07

 | HOME | 

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

emasaka

emasaka

フリーター。
連絡先はこのへん

Monthly


FC2Ad