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読書やコンピュータなどに関するメモ

「ティラノサウルスはすごい」

 ストレートすぎる書名にひかれて読んだ。

ティラノサウルスはすごい (文春新書)
土屋 健
文藝春秋
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 ティラノサウルスの化石は1980年以前に発見されたものは十体未満で、しかも1体のうち保存率が50%に行かないものがほとんどだったという。それが、1990年に保存率75%の個体“Sue”が発見され、さらに新しい標本の発見も続いて、1990年代後半からティラノサウルスの研究が飛躍的に進んだのだそうだ。

 ちなみにSueは、土地のややこしい権利関係から盗掘の嫌疑をかけられてFBIに押収され、公開が10年遅れたという経緯があるそうな。このへん、本書でも軽く触れられているほか、ドキュメンタリー映画「史上最大のティラノサウルス“Sue”の物語」(原題「Dinosaur 13」)で知った。

 本書はそんな変化の激しいティラノサウルス研究の現代について、一般向けに初心者にもわかりやすく、かつ多面的に解説していて面白く読んだ。本のオビにいわく、「親子で愉しむ恐竜読本」。精緻でありつつ、ときにかわいい図版やイラストも添えられている。ドラえもんやジュラシックパークシリーズでの描写の変遷から、ティラノサウルス観の変遷を見た第2章もあって、親しみやすい。

 また第3章では、ティラノサウルスの身体能力に関するさまざまな研究結果を紹介している。それによると、噛む力は3万5千ニュートンとアリゲーターの8.8倍で、もちろん頑丈な歯を備える。嗅覚はほかの恐竜に比べても発達。体温は30℃後半の慣性恒温性。歩行速度については、走れなかったという説から、鈍足だったという説、尾の筋肉により結構速く走れたという説まであるそうだ。

 同様に第4章ではさまざまな研究結果から生態を紹介している。幼体どうしのじゃれあいや、あの小さい前脚の使い方、骨折の痕跡、トリケラトプスの食べ方など。

 そのほか、当時の気候や、ティラノサウルス類の進化の過程、同時代の恐竜などの紹介も。一方、新しさを強調するために“羽毛が生えていたことに決定”といったような書き方をすることはなく、「祖先は羽毛が確認されている」「同時代の恐竜では大型種でも羽毛が確認されている」のように書かれていて、安心して読める。

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