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読書やコンピュータなどに関するメモ

「考証要集」

考証要集 秘伝! NHK時代考証資料 (文春文庫)
大森 洋平
文藝春秋 (2013-12-04)
売り上げランキング: 415

 NHKの考証担当ディレクターによる、時代考証トリビア集。オビにいわく「さてクイズです。次のうち、江戸時代劇に出してはいけないものはどれでしょう? (1) 鍋焼きうどん (2) 栗饅頭 (3) あんみつ」。

 そのような、物や言葉づかい、風習などについて、OKとNGのパターンを紹介している。50音順で、1項目が短かく軽妙に書かれていて、うんちくエッセイ風に読めて楽しめる。「時代劇で『絶対』は絶対に避ける」とか。

 多いのが、現代語や現代の風習を江戸時代入れてはいけないというのと、江戸時代の言葉や風習を戦国時代に入れてはいけないというあたり。「当たって砕けろ」は新しそうだけど江戸時代に用例があるとか、「医食同源」は1970年代の日本で作られた言葉とか、江戸時代には水泳が普及していなかったので「溺れる者は藁をもつかむ」という言葉がなかったようだ、とか。

 軍事方面のうんちくも充実していて、仕事はもちろんだけど、著者さんの興味も反映しているのだろうなと思った。「右舷・左舷」の読み方が引用されたことから本書を知ったし。旧日本軍の陸軍と海軍の違いとか、千人針とか、ベトナム戦争とか、城攻めのセオリーとかまで。

 学問ではなくドラマのための知識なので、「『記憶』という言葉はあったが、庶民は使わないほうが無難」といった、グレーな部分のアドバイスもいろいろ含まれている。逆に、平安時代のあかんべえは「大鏡」に用例があるのでOK、というように、“正誤”でなく“許容できるかできないか”が基準になっているのが特徴だ。

 あと大変なのだろうなというのが伝わるのが、視聴者対策。NHKには大河ドラマがあり、やはり歴史ファンのツッコミが激しいらしく、「戦国時代で清酒を出すとクレームが来るが、先進地域ということであれば問題はない」「『武士に二言はない』という言葉にクレームが来たが、相当する用例はあった」といった反論なども載っている。

 ドラマといえば、「セイタカアワダチソウ」の項では「ロケでは見つけしだい引っこ抜くこと」というコメントも、なんかおかしかった。

 番組と関係なさそうなトリビアもところどころ混じっていて楽しい。うどん定食の発祥とか、歴史上の人物の口癖や好物とか。唐突に長島茂雄語録が出てきたり。

 本書の題名は「往生要集」のもじりらしい。で、平安時代のキスの話から、「往生要集」に斜め上のツッコミを入れているところも面白かった。

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