本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「八月十五日の神話」

八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 ちくま新書 (544)
佐藤 卓己
筑摩書房
売り上げランキング: 160,363

 日本では8月15日が終戦記念日とされる。日本政府もこの日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」と定めている。1982年制定だけど。

 しかし、ポツダム宣言を受諾したのは1945年8月14日、大本営が全軍に休戦指令を出したのは8月16日、ミズーリ号で降伏文書に調印したのは9月2日。8月15日は、昭和天皇が14日付けの文書をラジオで読み上げた「玉音放送」の日である。

 本書は、「8月15日=終戦記念日」というイメージは作られた物語であるという立場から、それにともなうさまざまな話を説明している。

 たとえば、玉音放送を聞いて国民が皆、衝撃を受けるというイメージ。著者は、原文は難解であり、理解できなかった人が多かったのではないかという。実は直後にアナウンサーによる解説が付いていて、それを聞いてやっと理解した人が多かったのではないかと。それが、後からの刷り込みによって記憶が変質していったのではないかという指摘だ。まあ、本書の中ではいくつかの例を示すのみで、決定的にそうだというところまではいかないのだけど。

 また、玉音放送を聞いてラジオの前に泣き伏す少年の写真についてヤラせという証言を紹介。泣き崩れる女子工員の写真などについても、ヤラせや流用写真、予定稿だという可能性が高いと主張している。

 資料が詳細に研究されているのが第3部。教科書の記述を時代ごと・教科書ごとに検証していく。さらに、海外の教科書などにもふみ込む。

 もともと章ごとに別々に雑誌に書かれた文章を元にしているため、必ずしも1つのテーマを追求していくという感じではなく、ラジオやお盆、甲子園野球大会など8月に対する心性なども語られる。そして、著者の見立ては、敗戦イメージを払拭したい55年体制保守派と、8・15革命論の左派による同床異夢、と。

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://emasaka.blog65.fc2.com/tb.php/1147-b230c3a2

 | HOME | 

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

emasaka

emasaka

フリーター。
連絡先はこのへん

Monthly


FC2Ad