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読書やコンピュータなどに関するメモ

「ビアンカ・オーバースタディ」、「あらゆる小説は模倣である」、「BILLY BAT」10巻

ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)
筒井 康隆
講談社
売り上げランキング: 413

 ちょっと前に、筒井康隆が「ライトノベル始めました」ということで「ビアンカ・オーバースタディ」を発表して話題になった。まあ、ドタバタとエログロとジュブナイルとパロディとSFが得意な作家なので、さもありなん。

 で、あとがきで著者が、ラノベとして読むエンタメの読みかたと、メタラノベとして読む文学的読み方のふたとおりがあって、どちらで読んでいいと書いている。メタラノベというとナンだけど、ラノベの構造やパターンを抽出して、それを意識的に書く、という、パスティーシュやパロディのことかな。私はパターンとか知るほどラノベに詳しくなくてわからないけど、繰り返される説明とか、登場キャラとか、ご都合主義なあの会話とかがそうなのだろうか。

 そんなこんなもありつつ、中盤のカエルが出てきてからの暴走展開で笑った。

あらゆる小説は模倣である。 (幻冬舎新書)
清水 良典
幻冬舎
売り上げランキング: 5627

 ネットで見たネタで、ある年代のオジサンが書き慣れないエッセイを書くと、村上春樹をまねようとする、という話があった。やれやれだ。

 その村上春樹の処女作「風の歌を聴け」は英語に翻訳されていないのだとか。ヴォネガットの影響が見えすぎるとか。

 「すべての小説は模倣である」は、そんな「影響」から、「パクり」に近いものまで取り上げて、小説がゼロから作られるものではないこと、創作は意識や無意識で他の作品の影響の中から生まれること、ふだんなにげなく使っている言葉や言っている意見も影響のもとにあることなどを論じた新書。

  • 文体はウイルス
  • 寺山修司
  • 澁澤龍彦
  • 記憶の「影」
  • 「アルンハイムの地所」「金色の死」「パノラマ島綺譚」
  • 「風の谷のナウシカ」
  • リルケ、芥川龍之介、佐藤春夫の恋文
  • プロップ「昔話の形態学」
  • ラング=パターン、パロール=表現活動
  • 相互テキスト性
  • シミュレーション、サンプリング、データベース、二次創作

 で、本書の第3章が「模倣実践創作講座」となっていて、この作品のこのパターンを「模倣」して小説にしないか、と提案している。小説講座というより、「完全な真空」的なメタ評論みたいな印象を受けた。

 ちなみに、この第3章にメタフィクションの項もあって、「日本で90年代初めごろまでもてはやされたが、よく似たものをみんなが書いたので、急速に飽きられてしまった。筒井康隆は誰も試していない方法を探し続けている驚異的な作家」と書かれていた。

 ちなみに本書を最初に知ったとき、題名から、パスティーシュ小説を得意とする作家の清水義範氏の本かと勝手に誤解した。こちらは文芸評論家の清水良典氏の本である。そのへんの感覚も、テーマに合っている気がする、というのは強引か。

BILLY BAT(10) (モーニング KC)
浦沢 直樹 長崎 尚志
講談社 (2012-09-21)

 「すべての小説は模倣である」には、マニアックな元ネタを使って、わかる人に非難ではなくニヤリとさせるようなパターンについても語られていた。

 浦沢・長崎コンビのマンガでは、マニアックとまではいかなくても、あきらかに元ネタがわかるように使いつつ、ニヤリとさせることがよくある。特に「MASTERキートン」とか「MONSTER」とか。元ネタに対して、自分なりの仕立て上げ方に自信があるからできるんだろうな。

 「BILLY BAT」10巻の一連のエピソードは、やっぱり手塚治虫のあの短編へのオマージュかな。途中、夜道のあのシーンとかでそう思った。

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