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本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「死刑執行人サンソン」

 仏ブルボン朝時代に死刑執行人を務めたサンソン一族、中でもルイ16世の死刑を執行した四代目シャルル-アンリ・サンソンを描くノンフィクションだ。

 実話なのにえらくドラマチックなのに驚く。なにせ初代が駆け落ちして嵐で遭難し、一人だけ死刑執行人に助けられてその娘と結婚して職についたとか。死刑執行人は差別される立場だがセミ貴族的な生活だったそうで、四代目も学校に行けなくなって家庭教師を探していたところ、神学マニアをこじれせて死にかけた顔がボロボロで頑固な神父を三代目が助けて、教育を受けさせたとか。長じては貴族の女性と数々の浮名を流したというのもベタなまでにドラマチックだ。

 というぐあいなので、本書を元にしたマンガもあるというのもさもありなん。ちなみに本書の口絵を荒木飛呂彦氏が描いている。

 歴史に詳しくないよでよく知らなかったが、本書によるとルイ16世は国民から人望があったとか。で、フランス革命当初は立憲君主制が考えられていたのだけど、国外逃亡しようとしたのを機に裏切り者として扱われるようになったとか。

 そうそう、この時代の死刑関連のトピックといえば、シャルル-アンリ・サンソンはギロチンの開発にも助言を与えたとか。

「日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」」

 日本でいろいろあって逃げるようにフィリピンに渡り、そこで金が尽きてホームレスのような生活をしている困窮邦人を追ったドキュメンタリーだ。

 そこでは、さまざまな人生が描かれる。日本でその日暮らしをしていてフィリピンパブで出会った女性を追ってフィリピンに渡った人。偽装結婚詐欺でフィリピンに放り出された元新聞配達員。日本で悪事や借金を重ねてフィリピンに逃げた人。寝たきりになって枕元のPCを操作する、元年収1,000万以上のソフトウェア技術者。日本で妻との行き違いから離婚してフィリピンに渡った人。

 「搾取される若者たち」のようなテーマが流行ったころに発売された本で、日本社会の冷たさとフィリピンの優しさをテーマにしているようだ。

 ただ、さまざまな転落人生やテーマより印象に残ったのが、取材対象者の嘘とそれを取材側で裏取りする努力だ。最初のほうでも、「困窮邦人は自分に都合のいいことしか言わない」という言葉が出てくる。実際、メリットがなくてもばんばん嘘をつくし、それで取材をまるごと没にしたりもしているようだ。

 それを筆者は丹念に取材していく。同じことを何度も聞いて矛盾がないか確かめるのは基本。フィリピンをベースに、日本の身寄りを尋ねて取材したり。“本人が言ったから正しい”というだけではすまないんだなあと。そんなこんなで、2011年第9回開高健ノンフィク賞受賞。

「家康、江戸を建てる」

 このタイトルの小説だけど、物語上の主人公は徳川家康ではない。江戸に入った家康の命で、新しい都市のインフラが作られていく様子を、各分野を担当した官僚や職人をそれぞれのエピソードの主人公にして描く短編連作だ。そして、全体を通して見ると、やはり徳川家康が江戸を建てたという一冊になっている。

 それぞれの短編では、利根川東遷、小判、神田上水、江戸城石垣、江戸城天守という各事業が描かれる。いずれのエピソードも主人公と副主人公の2人がピックアップされる。前のエピソードの登場人物が後のエピソードで言及されたりというクロスオーバーの趣向もある。ちなみに、おなじみの大久保長安も出てくる。

 これだけの事業なので、トータルではけっこうな年月に渡っている。その間、戦国武将の世から官僚や職人の世に移り変わっていく。そして最後は、武将としてはパッとしなかったが政治家として徳川の世を固めた徳川秀忠がトリを飾る。

 帯の推薦文に「『ブラタモリ』と『プロジェクトX』が好きなら絶対に楽しめる」とあったけど、読んでみて、まさにその言葉がぴったりだと思った。

 著者は、第158回直木賞を受賞した門井慶喜氏。叙述トリックっぽい展開をしたりと、ミステリー畑出身らしい仕掛けもこらされている。ちなみに、門井氏は、渡良瀬川・利根川の合流点からもほど近い群馬県桐生市出身とのこと。

「風雲児たち 幕末編」30巻

 桜田門外の変の影響が、水戸藩への対向意識が薩摩、長州、土佐、幕府の志ある人々に及んでいく巻。暗殺一味のその後や、関鉄之助の処刑も描かれる。

 薩摩は寺田屋事件の後始末。直情径行やらかしキャラ(後に私怨で大村益次郎暗殺を命じた疑惑もある)の有村俊斎(海江田信義)が、ここでもやらかす。

 土佐では坂本龍馬が脱藩し、武市半平太ら土佐勤皇党が過激化。そして吉田東洋暗殺。

 高杉晋作は薩摩の五代友厚(というのは最初は隠してるけど後からポロリと)とともに上海の様子を見て、開国&長期攘夷派に。

 福沢諭吉ら文久遣欧使節も、パリ、ロンドン、オランダ、プロシア、ロシアを回り、条約を結んでいく中で、桜田門外の変を知る。あと、ロシアでは、ウラジミール・ヤマトフが日本風のおもてなしを手配したという、例のエピソードが。

 そうそう、この巻では帯のキャッチコピーを、実写ドラマ「風雲児たち~蘭学革命篇~」で前野良沢を演じた片岡愛之助氏が書いている。

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