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読書やコンピュータなどに関するメモ

「イーロン・マスク 未来を創る男」

イーロン・マスク 未来を創る男
アシュリー・バンス
講談社
売り上げランキング: 7,864

 1年弱前に出た本だけど、これも就寝前の頭を休める読書で読んだ。

 これまで何冊かイーロン・マスクに関する本が出てたけど、それらは業績を中心に解説していた。そういうのもいいのだけど、本書はイーロン・マスクの人となりの部分も、こってっりと描いている。

 そのキャラは強烈で、まさにベン・ホロウィッツのいう「戦時のCEO」。もっとも「ジョブズより人間性は上だし、ビル・ゲイツよりも洗練されている」というコメントが引用されているけど。

 とても頭がよくて有能でビジョナリーなのは、本書でもひしひしと伝わってくる。そのぶん自分の考えやスピードについてこれない人間には容赦ない感じ。「文章中のカンマの位置ひとつを巡っても死に物狂いで戦う」「批判も自分自身が否定されたように受け止めるので、戦争みたいになっちゃう」「あの人は信義とか人間関係みたいなものが完全に欠落しています」なんて証言も出てくる。

 合併や買収のたびにトップどうしの喧嘩をしてるし。「テスラCEOだったエバーハードはマスクからの電話一本でクビになり、今もさまざまな形で確執は続いている」とか。「経営者以外の誰もが会社の宝だと思っていた優秀なエンジニアが、身に覚えのないことで責められて仕事を追われたり、ばっさりクビになったりしています」なんて言葉も。

 細部まで自分でコントロールしようとする性格がいい方に出たのが、スペースXが自社開発にふみきったエピソードだろう。ロシアのロケット会社にふっかけられて、交渉に向かう飛行機の中で、イーロンがスプレッドシートで細かいコスト計算をして、着陸までには自社開発が決まったという。

 あと意外だったのは、X.comとPayPalが合併したころは、イーロン・マスクはWindowsプラットフォーム派だったという話だ。PayPal側は「リナックスのようなオープンソース型のソフトを指示した」が、マスクは「マイクロソフトのデータセンター用ソフトのほうが生産性が高いと評価していた」という。“マイクロソフトのデータセンター用ソフト”が何かは直接わからないけど、Windows Serverのことかな。マスクによる補足によると、「マイクロソフトとPCの環境を前提としたプログラミング・ツールのほうが圧倒的に強力だったから」ということで、ポイントはMicrosoftのライブラリやVisual Studioあたりの部分らしい。

「ロケット・ササキ」

 就寝前の頭を休める読書で読んだ。

 元シャープの佐々木正氏の伝記。「ジョブズが憧れた」「孫正義が恩人と呼ぶ」というキャッチコピーが付いてるけど、寝る前の気楽な読書なので、コンピュータ時代以前の話が面白かった。

 島根県出身で台湾育ち(ちなみに鴻海会長のテリー・ゴウの父親が同級生だとか)。京大を卒業して、なぜかインド→アフリカで反物を売る商売に。やがて第二次大戦が始まってドイツに渡り、レーダーの研究に参加する。そこで学んだドイツのレーダーの技術をUボートで日本に持ち帰り、陸軍登戸研究所に入って電波兵器の研究に従事する。

 終戦後はGHQの命令で米国に渡り、ベル研究所に入って、電子工学とクオリティコントロールを学ぶ。このとき、トランジスタを発明しつつあったショックレー、バーディーン、ブラッテンと知り合う。日本に帰ってからは、トランジスタの研究のため江崎玲於奈を育てる。

 朝鮮戦争が始まると、電波兵器の経験を活かして(?)電子レンジを日本に持ち込み、早川電機(のちのシャープ)に売り込み、その後入社する。そこで電卓開発(当時は50万円とか)を率いる。さらに、当時は歩留りが2%だったMOSに注目し、日本でも米国でも半導体メーカーが尻込みする中、ロックウェルとともにMOS-LSIを実用的なものにする。ここで開発されたMOS-LSIはアポロ12号に搭載された。ロケット・ササキの渾名もこのころロックェルの人に付けられたものだ。

 電卓にMOS-LSIを用いて高集積化したあとは、シャープは佐々木のツテをもとにRCAが開発中だった液晶のライセンスを受け、実用化した。

 とまあ、シャープがどこで誤ったかとかは私にはわからないけど、すごい経歴と実績を追っていくだけで面白かった。

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