本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「映画は中国を目指す」

映画は中国を目指す (映画秘宝collection)
中根 研一
洋泉社
売り上げランキング: 151,172

 映画「トランスフォーマー/ロストエイジ」には、中国の舞台や商品などが全面的に登場した。「パシフィック・リム」も、香港に基地があった。「アイアンマン3」でも、中国の事物を登場させたほか、中国の登場人物やシーンを増やした中国版が作られた。

 このように、最近ではハリウッドが中国市場の“爆視”を狙って作品を作っていると、本書をはじめしばしば言われる。その爆視の対象は、ダントツで、VFXなどの特殊効果をふんだんに使った実写SF娯楽巨編に偏っているという。別の本だが「マリファナも銃もバカもOKの国」によると、それによってハリウッド側でも制作する作品傾向が変わっているとか。

 日本の作品でいうと「ウルトラマン」シリーズ、特に平成三部作がずっと人気があるそうで、本書によると、しまいには首相が「孫がウルトラマンをよく見ているが、中国作品も見てもらいたい」と発言したとか。で、政治家と愛国者はウルトラマンを日本叩きの対象としたが、子供と特撮好きはそんなの関係なくウルトラマンシリーズのファンで、サモ・ハン・キンポーも「出演したい」と言っていたとか。「パシフィック・リム」が中国でヒットしたのも、そのあたりが下地になっているのかもしれないと本書はいう。

 また、アクション好みの中国市場には珍しく「ドラえもん」が長年大人気だとか。3代続きのファンもいて、「STAND BY ME ドラえもん」が大ヒット。中国で上映された日本映画として過去最高の売り上げとなったという。

 というように、中国市場へのハリウッドの接近や、日本の特撮・アニメ作品の中国市場での業績、あるいは中国製の特撮作品などを、本書では紹介している。さて、この世界経済情勢の中、これからどうなるか(成り注)。

「風雲児たち 幕末編」26巻

風雲児たち 幕末編 26 (SPコミックス)
みなもと太郎
リイド社 (2015-08-27)
売り上げランキング: 162

 表紙には、諦念を表情に浮かべたお姫様と、「計画通り(ニヤリ)」と言ってそうな悪い顔をした公家の、二人が描かれている。というわけで前半は、和宮降嫁と、その裏で幕府潰しに暗躍しまくる岩倉具視の話。

 後半ではまず、文久遣欧使節団と、精鋭の中でもそれに加わった福沢諭吉。続いて長井雅楽の開国論と長州若手の反発、中でも高杉晋作の全国遊学。それにからんで、大久保一蔵による西郷吉之助の呼び戻し活動が。明治維新の風雲児たちが、いよいよ行動にかかってきた。

 ちなみに口絵には、本文と関係なく、さな子さんの女騎士姿が。各回の扉には、これも本文と関係なく(ボヤく)おイネさんのイラストもw

「決戦! 関ヶ原」「決戦! 大坂城」

決戦!関ヶ原
決戦!関ヶ原
posted with amazlet at 15.08.23
葉室 麟 冲方 丁 伊東 潤 上田 秀人 天野 純希 矢野 隆 吉川 永青
講談社
売り上げランキング: 10,379
決戦!大坂城
決戦!大坂城
posted with amazlet at 15.08.23
葉室 麟 冲方 丁 伊東 潤 天野 純希 富樫 倫太郎 乾 緑郎 木下 昌輝
講談社
売り上げランキング: 7,225

 歴史小説の一つのタイプとして、史実の言動や行動に(あまり)矛盾しない中で、新しい人物像や裏側をフィクションとして作ってみせる楽しみがある。それが進むと、上杉謙信が女人だったり、エイブラハム・リンカーンがヴァンパイアハンターだったりしちゃうんだけど。

 それはさておき、この2冊は、関ヶ原の戦いと大坂城の陣について、気鋭の歴史小説家が集まって書いた(ほぼ)書きおろしアンソロジー。いずれも生きのいい短編が並んでいて、それぞれの作家の作品を読みたくなった。

 特に、残念な人物と言われている人達について「実は……」といった話を作ってみせるものが多く、武功を上げた武将よりちょっと横の人物が多い。

 以下ネタばれアリアリで書くので、未読の方はご注意を。なお、ここでは(関)は「決戦! 関ヶ原」、(大)は「決戦! 大坂城」とする。

続きを読む »

「日経Linux」2015年9月号

 この号の執筆に参加したので、報告と宣伝です。

 特集2「一家で楽しむ夏休みのLinux」に参加しました。私が書いたのはPart 3のお父さん・お母さん向けパートで、Shotwellでの写真整理、ReadyMedia(minidlna)でのDLNAメディアサーバー作り、Web家計簿ソフト「小槌」による家計監理を紹介しました。

 ほかのパートは、Part 1がUbntuパソコンの用意、Part 2が教育用ディストリビューションや地域・教育アプリの活用、Part 4が、Skype・Lineでのメッセージ、Dropboxでの写真共有について。ソフト自体だけではなく、応用まで解説している。

 自分関係はそのぐらいにして、以下、通読メモ。

 特集1が「ラズパイで電子工作ができる人になる」。Part 1でLEDや抵抗の基礎、プルアップ&プルダウン抵抗、PWM、ボリューム、ADコンバーター、トランジスタ、モータードライバーなどの電子工作の基礎と、それをRaspberry Piとつないで制御する方法を解説。そのうえで、Part 2でWebカメラの写真をメールするマシン、Part 3で赤外線センサーで追尾するちびギアモータロボット、Part 4でほこりセンサーと、実例を見せている。

 それ系では、連載「Raspberry Piで始めるかんたんロボット製作」が、いよいよ初期化と終了処理を実装して、ロボットをまっすぐ・条件つき・スピード調整で走らせる回。連載「ドローンを改造して飛ばそう」が、ドローンをAndroidから操作するSDKのインストールとデモアプリの実行。

 特集3が「トラブルから逃げない十の方法」。エラーメッセージをよく読むという基礎から、ログ検索、GRUBの起動オプション、ライブLinuxとそこから使うブート修復ツール・ファイル復活ツール、バックアップ、htop・iotop・sysstat、Ubuntuの検証用最新カーネル、デバイスドライバのインストール、kdumpを解説。

 特別企画「最新CPU「Braswell」で省電力Linux」は、最新Atom CPUのBraswellを搭載したPCにUbuntu MATEをインストール。で、最後に電源管理ツールのTLPをPPAからインストールしてみせている。

 中井悦司氏による新連載「KVMサーバー仮想化の実戦活用」が登場。初回の今回は、仮想マシンの仕組みの基礎と、VNCのデスクトップでのvirt-managerの操作の基礎などについて。

 まつもとゆきひろ氏の「作りながら学ぶプログラミング言語」連載は、ちょっと変わったところで、CSVの処理の難しさと、CのCSVパースライブラリ「csv_parser」を改造してStreemに組込むところ、それにともなうオープンソース開発の醍醐味について。

 連載「Linux超入門」が、UbuntuアプリからのGoogleサービスの利用。EmpathyでのGoogleハングアウト、EvolutionからのGmailやGoogle Calendar、ShotwellからのPicasa、InsyncからのGoogle Driveを紹介。

 連載「LibreOfficeの書類作成術」が、Calcでの複数シートの使いこなし。複数のシートに同時に入力したり、串刺し計算をしたり。LPIC連載が、viでのテキスト編集の基礎と、シェルスクリプトの制御構造。PCリフォーム連載が、Core 2 Duo世代のPCにUbuntu Studioをインストールして、ハイレゾ音源の再生や録音まで試す。カーネル新機能連載が、キーボードのLEDを操作する「LEDクラス」。

 ほか、巻頭のレポートが、UbuntuをベースにしたChrome OS風のディストリビューションChromixium、Window 10とLinuxのデュアルブート、VirtualBox 5.0、日経BPの「IT Japan 2015でのレッドハット廣川会長の講演。フリーソフト連載が、GNOME純正のKVM UI「GNOME Boxes」。美女Linux連載が、touch・cp・mvによるファイルの作成・コピー・移動。世界のディストロ連載が「SteamOS」。

 「#!シス管系女子 Season 3」が、ユーザーの入力で処理を変えるところ。最後のヒキにもあるとおり、入力ミスは怖いですねえ。

「火天の城」

火天の城 (文春文庫)
火天の城 (文春文庫)
posted with amazlet at 15.08.11
山本 兼一
文藝春秋
売り上げランキング: 61,862

 「大坂城を建てたの、だ〜れだ」「大工さん」というのは20世紀のなぞなぞだ。いや、20世紀以前や以後にもあるかどうか知らないけど。

 それはさておき本作は、幻の城といわれる安土城の建築を、プロジェクトの中心となった棟梁親子を中心に、プロフェッショナルたちの目から描いた小説だ。主人公二人が率いる大工たちから、杣、石工、瓦師まで、各分野の専門家の仕事が描かれる。そういう骨太のプロフェッショナル群像時代劇という意味では、「始祖鳥記」や「天地明察」あたりにも通ずるかも。まさに建築小説、つまりビルドゥングスロマン(←これも、20世紀のダジャレ)。

 工事の描写は緻密。安土城については詳しく知らなかったけど、構造から、蛇石のエピソード、謎の壺まで、うまく史実をストーリーに練り込んでいるようだ。なお、織田信長も出てくるが、武将というより、どんどんハードルを上げるムチャぶりビジョナリーといった役回り。

 という難事業なので、設計や材料、工事など、次々と困難が襲ってくる。ほかの武将の勢力による妨害工作も続く。内部でも、若棟梁の反発と挫折、内通者の工作と愛憎などなど。そうした数々を乗り超えて安土城が建っていくところが、ぐいぐい読ませる。そして最後は史実+α。

火天の城 [DVD]
火天の城 [DVD]
posted with amazlet at 15.08.11
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) (2010-02-21)
売り上げランキング: 41,920

 本作は映画化もされている。“泣ける話”を狙って中途半端になっているというのが私の感想だけど、なにはともあれ映像の中で木造大建築物が建っていく。

 | HOME | 

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

emasaka

emasaka

フリーター。
連絡先はこのへん

Monthly


FC2Ad