本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「Q.E.D.」26巻

 都築道夫氏が30年ぐらい前に書いた評論「黄色い部屋はなぜ改装されたか」以来、本格ミステリは「トリックよりロジック」「who(誰が犯人か)より why(どうしてそういう状況になったか)」が主題になった。このマンガは、メディアを超えて、そういうミステリの醍醐味を味あわせてくれるシリーズだ。

 1編目の「夏のタイムカプセル」は、殺人も犯人もない青春ものだが、思わぬ伏線が効きまくっていて、まさに本格ミステリだと思う。

 もう一編の「共犯者」は、「半落ち」風の状況+密室殺人という組合せ。密室のロジックというかwhyがまさにアレなんだけど、それはネタバレなので内緒。そっけない描きかたながら、容疑者の性格や行動に余韻が残った。

Q.E.D-証明終了- 26 (26)
Q.E.D-証明終了- 26 (26)
posted with amazlet on 07.02.23
加藤 元浩
講談社 (2007/02/16)
売り上げランキング: 1027

「ヴィンランド・サガ」第4巻

 いつの間にか発売されていたので購入。一部(私も含めて)に人気の高い幸村誠氏による、ヴァイキングのマンガ。

 この巻ではクヌート王子争奪戦が主なストーリー。キャラとしては、アシェラッドの曲者っぽさを中心にしていて、わりと地味目かも。

 …と思ってたら、最後でキター。いや、あれと万引きとを同列に扱うのはどうかとは思うけど。

ヴィンランド・サガ 4 (4)
幸村 誠
講談社 (2007/02/23)
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「極道めし」1巻

 「食キング」「喰いしん坊」の土山しげる氏が描く食マンガ。究極の脳内グルメマンガかもしれない。

 刑務所で毎日質素な食事をさせられている受刑者たちが、暇にまかせて「うまい物の話勝負」をするという、百物語とか二都物語とかのような設定。ただし、そこは土山しげる氏、その場の全員が共通で食欲をそそられる普遍的なネタが勝ちという理由をつけて、カツ丼とか立ち食いそばとかドテ焼きとかのB 級グルメ話が続く。

 ギラギラした勝負話でもなく、感動や人情を前面に出すでもなく、淡々と食べ物への妄想が続く。しかも、各自の食べ物への思い入れを微に入り細に入りうまそうに描写するのはもちろん、餃子を食べるときの醤油と酢とラー油の割合の好みとか、トンカツ定食を食べる順番とか、マカロニをこう食べるのが好きとかいう、ディテールの描きっぷりが面白い。なんというか、落語的なものを感じさせる。

 いままで、こんなに立ち食いそばをうまそうに見せたマンガがほかにあっただろうか。

極道めし 1 (1)
極道めし 1 (1)
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土山 しげる
双葉社
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「タイアップの歌謡史」

「東京音頭」をはじめとして、レコード産業が始まった20世紀初頭からの、(広義の)歌謡曲と広告主との歴史を語る本。はからずも、20世紀歌謡曲歴史をほぼそのまま映していて、拾い物の一冊。
「音楽業界とスポンサーが結託していてけしからん」とかいう観念的な語り口ではなくて、TV業界、広告業界、音楽業界、ラジオ業界といったそれぞれの力関係の移り変わりが中心に論じられている。軸となるのは、原盤権。
吉田拓郎がTV出演拒否したのはラジオ側の人だったからで、矢沢永吉がTV出演拒否したのは広告側の人だったから、という指摘も面白い。

タイアップの歌謡史
タイアップの歌謡史
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速水 健朗
洋泉社
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「「社会調査」のウソ」

評判が高いので読んでみたところ、評判に違わずいい本だった。
書名や前書きにあるように、ベースは「ゴミのような社会調査」を批判する本。だが、それにとどまらず、「実例にもとづいた、リサーチ失敗例のケーススタディ」として、見事な入門書になっていると思う。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
谷岡 一郎
文藝春秋
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「つっこみ力」

「反社会学講座」「反社会学の不埒な研究報告」のパオロ・マッツァリーノ氏の新作。今度は新書。

今回のネタは、

  • インセンティブ
  • 職業区分
  • 格差社会
  • 不動産
というあたり。正直、前2作より薄味だし、矛盾やら、ゲーテ論法やら、不自然な図解やらが目立つのだけど、それは新書のパロディーでこちらの「つっこみ力」を試す釣りだろうと思う(好意的解釈)。ネタも滑りぎみだが、「欧米力」には笑った。

つまらないとはいわないけど、「反社会学の不埒な研究報告」後半の中谷ネタを面白いと思った人だったら楽しめるのかも。

つっこみ力
つっこみ力
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パオロ・マッツァリーノ
筑摩書房
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「美しい都市・醜い都市」

建築学者が、日本橋上の首都高速を撤去するなど「美しい国」を標榜する景観法を中心に、都市論を語るエッセイ集。それぞれ別の雑誌に掲載された原稿がもとになっているものの、うまく1冊にまとまっていて面白かった。

第1部では景観法がテーマ。以下の3点などから批判している。

  • 「美しい」を国が上から押しつけるのはファシズムだ
  • 明治に作られた今の日本橋は凡庸で、観光目的の魅力に乏しい。首都高速の同地点のほうが、美術的にも歴史的にも意味がある
  • そもそも、それって大規模なハコモノ行政では?

それに呼応して、終わり近くの11章では、「美しい国」としての北朝鮮を取り上げている。しかも、批判しながらも「建築を学んだものとしては、抗いがたい魅力を感じたのも事実」と語っているあたりが、かえって批判が強まっていると思う。

その他、香港や幕張、押井守作品の街などが語られている。

美しい都市・醜い都市―現代景観論
五十嵐 太郎
中央公論新社
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「逃亡日記」

吾妻ひでお氏が作中でいうには、「失踪日記」の便乗本(笑)。
「失踪日記」ネタや生い立ちのインタビューを中心に、書き下ろしエッセーマンガや、「失踪日記」の舞台になった場所での写真、メイドさんとの写真などを掲載。
作品は好きだったけど、本人についてはよく知らなかったので、面白く読んだ。写真でみる本人の姿は、作中にもあるように、ちょっと怪しいかも(笑)。
あと、奥さんに出版社から「失踪され日記」の依頼があったというのも笑った。

逃亡日記
逃亡日記
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吾妻 ひでお
日本文芸社
売り上げランキング: 254

「被差別の食卓」

世界の被差別地域の「ソウルフード」を取材したルポ。Amazonとかでは評価がよくないけど、読んだらけっこう面白かった。フライドチキンとか、ハリネズミとか、牛肉とか。

被差別の食卓
被差別の食卓
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上原 善広
新潮社
売り上げランキング: 16221

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