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本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「新九郎奔る」1巻

 ゆうきまさみ氏が伊勢新九郎(後に北条早雲と呼ばれる人物)のマンガを始めたと聞いて読んでみたら、情報密度が高くて面白かった。

 第1巻なので、まだ新九郎のローティーン時代で、ちょうど応仁の乱が始まるあたりが描かれている。ある程度省略していてもややこしい状況なんだけど、愛されキャラで好奇心の強い少年が主人公だと、まわりの人物が説明してくれるというのが自然になってわかりやすい。

 あと昭和に育った世代としては、「「一休さん」に出てくる、おなじみ「新右衛門さん」の息子、蜷川親元です」というネタに、親しみを感じた。

「自動運転「戦場」ルポ」

 著者さんがメルマガで書いていたところによると、当初は米国で自動運転車の実用化は近く、それに比べると日本は遅れているのではないか、という仮説で取材や調査を始めたとか。が、調べるほどにそれは誤解であるとわかった、と。その成果が本書らしい。

 その言葉のとおり、自動運転に期待しつつも、すぐやって来そうに言われているレベル5自動運転(運転者不要)は現実にはまだ問題が多いことを指摘。まず現実に各社が目指すのはレベル3自動運転(必要があれば人間が対応)だとし、その課題などを取材や調査から具体的に指摘している本だ。

 レベル5が遠くレベル3の課題にもなっているのは、事故がいくつか起きている点だ。いちばん問題になったのは、アリゾナでUberの実験車が死亡事故を起こした件。また、テスラの製品で半自動運転にまかせきって高速道路を走っていた車が中央分離帯に激突してドライバーが死亡した事故もあり、前年にも類似の事故があったと。いずれも、人間でも対応に困るような事故ではなく、人間が運転していれば問題がないケースだという。

 その要素としては、センサーの誤認識や、ファルスポジティブを避けるための閾値設定、機械学習で学習していない人間のフリーダムな行動、自動運転のもとになるだけの細かな情報が集められた地図の不在、それを補うためのV2Xの整備などが挙げられている。

 こうした課題のあと、最後の第4章では、日本を中心にアジア各国で自動運転が必要とされる背景やユースケースが分析されている。

 ちなみに、本書で引用されていた日本認知心理学会での発表によると、レベル3自動運転で「ここからあなたが操縦してください」と言われて素直に従う人は運転の安全性が低く、疑問を持つ人のほうが安全性が高いのだとか。

「テンプル騎士団」

 テンプル騎士団は十字軍の始まりとともに生まれた。最初は護衛が主な役割だったが、この時代には例を見ない常設軍となった。さらに、護衛から派生して銀行業務を扱うようになり、しまいにはフランスの経理・財政のアウトソーシングも担うまでになった。

 が、十字軍の終わりとともに疎まれるようになり、讒言により処罰され解散となった。ただしそのメンバーは生き残り、ポルトガル支部はキリスト騎士団と名を変え、エンリケ航海王やヴァスコ・ダ・ガマなどを排出した。同時に、テンプル騎士団は都市伝説の格好のテーマとなった。

 というようなテンプル騎士団の栄枯盛衰を、わかりやすく面白く語った新書だ。

 ちなみに、世界史に疎いのでネットで調べたところ、十字軍は日本でいうと平安時代末〜鎌倉時代末ぐらいの時期だとか。で、モンゴル帝国とぶつかったりはしなかったのかとさらにネットで調べたところ、十字軍側ではなにやら共闘を考えたけど、モンゴル帝国は凶暴だからやめようということになったとか。

「信長の忍び」14巻

 この巻では、明智光秀の丹波国攻略失敗から、天正4年の石山本願寺戦(「村上海賊の娘」の舞台となった第一次木津川口の海戦を含む)を描いている。

 その光秀が全面的にフィーチャーされた巻だ。最初のうちは後に大ブーメランとなって返ってくるネタが連発されるんだけど、だんだん闇落ちフラグが積み重なってきて、天正10年を予感させる展開となる。自分がしくじったら妻子がという追いつめられかたは、現代人にもわかりやすいな。ああ煕子様。

 ちなみに本能寺の変での光秀は、すでに関連作「軍師 黒田官兵衛伝」3巻で描かれている。

「机上の九龍」、「真 机上の九龍」上・中・下

 一目見てわかるようにタイトルは、机上の空論と九龍をかけている。さらに内容ではクローンもかけている。

 1990年代あたりに(当時の)香港をイメージした近未来ものが流行したけど(メジャーどころでは「帝都物語」「スワロウテイル」なども)、その流れにあるマンガ。西暦2500年ぐらいの日本にあるネオ九龍という都市(西新宿を中心とした東京が元?)が舞台になっている。

 主人公は捜し屋の机田九。いろいろな人の依頼を受けて探すうちに、背景の陰謀が見えてくる、というノワール探偵ものの連作になっている。中でも、知能を持った動物たちを作った、マッドサイエンティストのもろ博士(モロー博士ですな)の影がちらつく。

 長崎尚志氏らしい風呂敷の広げ方だけど、ほどのどの長さなので、いつものような“どんでん返しをくり返した結果、ふり返ると登場人物が何をしたかったのかわからない”ようなことにならずにまとまっている。伏線や因果もわりと効果的だし。

 本作は2000年から雑誌に発表されたらしい。私は10年ぐらい前にたまたま古本で「真 机上の九龍」を買って読み、最近になって最初の「机上の九龍」をAmazonマーケットプレイスで買って読んだ。

 ちなみに、困った人から依頼を受けて助ける、ちょっと特異な能力を持った少年と、その肩に乗っていて知恵や行動で助ける小さな「父さん」ということで、私は「ゲゲゲの鬼太郎」を意識してるんじゃないかなと想像している。

 あと、今回「真 机上の九龍」を読み返して、巻末で大木刑事の外見のモデルが松重豊さんだったと知って驚いた。

「日経Linux」2018年9月号

 発売されて1か月ほどたってしまったけど、メモとして。

 この号では、巻頭レポートと特集1に1本ずつ寄稿しました。巻頭レポートでは、キャラクタ端末向けWebブラウザー「Browsh」を紹介しました。バックエンドでFirefoxをヘッドレスで動かして、レンダリング結果をキャラクタで表示するというものです。YouTubeも一応表示されるのは驚きました。

 特集1は「はじめてのLinuxサーバー最新レシピ16本」。Part 1が「“最初の1歩”編」で、Ubuntu Server 18.04 LTSのインストールと固定IPアドレスの設定、sshdの基本設定、ufwの設定、ブロードバンドルーターのポートマッピング設定、DDNS設定、送信専用メールサーバー設定。Part 2が「“おススメの1本”編」で、Nextcloudを立てる。コラムでWebDAVサーバーのWeborf。Part 3が「“Webサイト公開”編」で、WordPress、ブログサーバーのGhost、写真ギャラリーサーバーのPiwigo、HTTPS対応のLet's Encrypt。Part 4が「“仲間とワイガヤ”編」で、Slack風チャットサーバーのMattermost、ActivityPub/OStatusな分散SNSのPleroma。Part 5が「“書類や知識を整理”編」で、git、Stack Overflow風のナレッジサーバーKnowledge、カンバンシステムのRestyaboard。Part 6が「“自宅LAN快適化”編」で、aptプロキシーのAptt-Cacher NG、DNSキャッシュサーバーのUnbound、HTTPプロキシーのSquid、VPNサーバーのOpenVPN。

 Part 7が「“仮想サーバー”編」で、DockerやLXD、snapを紹介。Part 8が「“Raspberry Pi”編」で、ファイルサーバー用OSのOpenMediaVault、監視カメラOSのmotionEyeOS、音楽再生プレイヤーOSのpiCorePlayer、PCやモバイルデバイスから動画をTVに映すRaspberryCast。コラムでRspberry Pi 3 Model B+の初期設定。

 特集2が、「軽量Linuxの選び方・遊び方」。Part 1が新定番もので、そのうちUbuntuフレーバーでXubuntu、Lubuntu、Ubuntu MATE。流麗なデスクトップでフランス生まれのVoyager、Pantheonデスクトップのelementary OS、Windows風のChaletOS。個性派デスクトップで、EnlightmentベースのMokshaデスクトップのBodhi Linux、旧型PC向けのPuppy Linux、Windows風のZorin OS Lite。

 Part 2は「実践! 軽量LinuxをPCにインストール」で、2in1タブレットにXubuntuを入れて、シェルスクリプトで画面回転に対応する。

 特集3は「Amazon Echo & Google Home AIスピーカーを自作しよう」。Amazon Alexa編は、Raspberry PiにAVS Device SDKを入れて、高性能マイクを付けて、AIスピーカーにする。Googleアシスタント編は、Raspberry PiにGoogle Assistant SDKを入れて、IFTTTによってTwitterに投稿する。

 特集4が「ラズパイで楽しむLinuxライフ Webアプリで使うDBを安全に管理しよう」。WordPressを題材に、MariaDBをMySQL Workbenchで管理し、さらにSSL経由でMariaDBサーバーに接続するよう設定する。

 新連載「ラズパイで学ぶ 画像認識超入門」が登場。Raspberry Pi+OpenCV+Pythonによるカメラ画像の認識を学ぶ。初回は、画像の基礎と、OpenCVのインストール、USBカメラの接続、サンプルコードの実行。

 まつもとゆきひろ氏の「プログラマのこだわり」連載が、マンガ。星野之宣作品、「AIの遺電子」&「バイナリ畑でつかまえて」、「スティーブス」、「王様達のヴァイキング」、「理系の人々」などが紹介されている。あと、まつもと氏にとって「アップル製品が苦手な理由」という話も。

 「Linux 100%活用ガイド」連載が、Stellariumによる自宅プラネタリウム。LinuC連載が、101試験「システムとサービスの起動・管理」と102試験「ネットワーク管理」。「ラズパイ電子交錯お手軽レシピ集」連載が、ラズパイをX68000型ケースに入れて、RetroPieでレトロゲームを動かす。カーネル新機能連載が、仮想CPUに物理CPUの実行権がないときにタスクを割り当てないようにする2行のパッチについて。

 巻頭レポートの自分以外の記事が、LPIC(本部)の新試験についてで、LinuCとの関係についても触れている。世界のディストロ連載が、openSUSEから派生した「GeckLinux」。フリーソフト連載が、実体配線図で定番ともいえるFritzing。

 みんな大好き「#!シス管系女子Season6」が、シェルのパスを通す話。お約束のボケありがとう。

 別冊付録が、「基礎からわかる最新Linuxマスターブック」。過去記事から、Linuxの基礎や、操作の基礎、ファイルシステムの基礎、シェルの基礎、シェルスクリプトの基礎、パーミッション、cron、パーティション管理、パスワード、gitの基礎、Markdownの基礎、Raspberry Pi入門をピックアップしている。

「劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』」

 「素人は戦略を語り、玄人は兵站を語る」としばしば言われる。本書は古代中国の経済や貨幣の研究者が「三国志」の世界を財源や経済政策から語る本だ。

 まず曹操は、黄巾一派の残党を吸収し、屯田で働かせて財政基盤とした。「三国志」には詳しくないけど、このあたりは「蒼天航路」でも大きく取り上げられてたな。

 一方、劉備は徐州牧時代には糜竺をパトロンにして経済的にまず安定。荊州牧についたときには、劉備に信用がなかったので諸葛亮の名前で金を集めた。諸葛亮はここで、無戸籍民を集めて戸籍に登録し、税収を増やした。

 諸葛亮は劉備のもとについたとき、天下三分の計ではなく「隆中対」という策を授けた。内容は、荊州と益州(蜀)は経済的利益があるからいただけ、南征しろ、しかる後に長安方面に向かえ、というものだったとか。

 というわけで劉備が入蜀したとき、成都城の蔵の財宝を接収し、ほぼ空にしてしまった。そこで貨幣を改鋳して質を落として国庫を充たした。

 南征では、諸葛亮は土地の人々を「生かさず殺さず」で搾取した。その資金を北伐にあてた。つまり、南征で得た資金は、益州にあまり還元されず、北伐の軍資金となった。そのほか、屯田や略奪で資金や物資を得たとか。なお、五丈原の最後の北伐は、前回から3年のブランクがあり、蜀漢の食料事情が悪化していたのが原因だろうと。

 このような諸葛亮の軍事最優先型経済を、著者は、自国よりはるかに強大な曹魏と対決するために無理をしていたのだろうと分析している。

 ちなみにそのほか、董卓支配下の長安は実は好景気だったとか。また袁術は、貿易地を手に入れたことにより、ほかの群雄が飢饉に苦しむ中で多くの冨と食料を保有したし、飢饉に陥ったときにも対策をとっていたとか。

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