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本を読む

読書やコンピュータなどに関するメモ

「アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」」

アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 (集英社新書)
中川 裕
集英社 (2019-03-15)
売り上げランキング: 1,676

 マンガやアニメの「ゴールデンカムイ」でアイヌ語やアイヌ文化を監修している方の著書。タイトルを最初見たときは、タイトルの逆で「ゴールデンカムイ」をダシにアイヌ文化を語る本かなと思ったけど、まあそういう部分もありつつ、アイヌ文化がわかると「ゴールデンカムイ」がよりわかるという本でもあった。

 第7章なんかまさに「「ゴールデンカムイ」名シーンの背景」。女の子が狩りをするのは普通ではないが、まったく例がないわけではないとか。アシパの身に着けている毛皮は、狼のレタの母親のものという設定とか。アシパの服で最初から樺太とのつながりが示されていたとか。

 さらに、雑誌から単行本になるときや、漫画からアニメになるときに、監修的に変えた点などもこぼれ話的に紹介されている。アイヌ語の中の方言が違っていたとかね。監修者さんが驚く野田サトル氏の資料や発想なども語られる。

 アイヌ語がそこまで日本語と(に限らずどの言語とも)全然違う言語だというのは知らなかった。あと、ヒンナはおいしいという意味ではなく感謝の言葉だと作中でも言われてるけど、忘れてた。カムイユカって、金田一京助が「ユーカラ」と呼んだものかな。

 というわけで本書では、アイヌのカムイ観(=宗教、自然観)から、由来や土地ごとの違い、社会制度、伝承、信仰、食べ物、アイヌ語まで解説している。「ゴールデンカムイ」はエンターテイメント作品として面白いのだけど、それをきっかけに本書のわかりやすい解説でアイヌ文化の話を読めてよかった。

「コスモス・エンド」

コスモス・エンド (ボム・コミックス)
笠原 俊夫
日本出版社
売り上げランキング: 174,011

 35年ぐらい前の少年ジャンプで、恒星間宇宙船やブラックホールをテーマにした本格SFマンガが連載されていたなあとふと思い出して、調べてみたら本書がそれらしいようだった。で、ネットで古本を購入して読んでみたら、記憶にあったのはまさに本書だった。オリジナルで2冊、再編集本で1冊におさまっている。

 今読んでも面白い。100年前の恒星間宇宙船が漂流しているのが発見され、宇宙基地「ミッドガルド」に曳航され、一人だけ生き残った乗組員が銀河系全体の危機を伝えて死亡する。しかもなぜか主人公を知っているらしい。

 これを受けて探査船「イグドラジール」が、銀河の中心にある巨大ブラックホール「ギンヌンガ・ガップ」に向けて旅立つ。そこには宇宙やら船内やらに謎の現象が相次ぎ……という話。

 このように、銀河の危機の話と、北欧神話っぽいネーミングが、十代の心をくすぐったのであった。銀河の中心にブラックホールがあるという説は、現在では定着しているけど、当時はまだ走りだったらしい。作者さんもあとがきで、付着円盤(降着円盤)をマンガに登場させたのは世界初じゃないかと書いている。

 なんというか、昔のSFだなあという雰囲気だけど、それが嫌いでなければむしろ正統的に感じる。本書が書かれたのは、だいたいJ.P. ホーガンの「巨人たちの星」シリーズぐらいの時期だったり、参考文献にカール・セーガン「コスモス(宇宙)」が挙げられていたりで、そうそうあの時代だよなあと。

「風雲児たち 幕末編」32巻

風雲児たち 幕末編 32 (SPコミックス)
みなもと太郎
リイド社 (2019-05-27)
売り上げランキング: 4,754

 この巻では生麦事件と、それにまつわる対応を描いている。それも、薩摩、英国ほか諸外国、幕府とその配下と、それぞれの視点から群像劇のように多角的に状況を描いているのが読ませるところだ。

 英国でも、被害者それぞれの行動を追うし、諸外国のその後の対応の紛糾や、佐久間象山も警告した海上封鎖作戦などが語られる。薩摩と幕府の間では次々に話が食い違う証言(「落盤」風)が出てくる。

 そもそも事件は第二次東禅寺事件の対応中とか。あと、「幕末太陽傳」でも名前が出た、ヘボン式ローマ字ノヘボン先生も出てくる。

 そして本巻の最後では、幕末暗殺史の1号となる島田左近暗殺に、山内豊範入洛が。

「Q.E.D. iff」13巻、「C.M.B.」41巻

 同じ作者による人気ミステリーコミックの最新刊が、今回も2冊同時発売された。以下、ネタバレに気をつけているつもりだけど、未読の方は念のためご注意を。

Q.E.D.iff -証明終了-(13) (講談社コミックス月刊マガジン)
加藤 元浩
講談社 (2019-06-17)
売り上げランキング: 515

 「Q.E.D. iff」13巻は、「殺人風景」と「特異点の女」の2編を収録している。いずれも、本筋の事件から発展(暴走?)した部分が肝だった。

 「殺人風景」は、多額の借金を抱えた学習塾の経営者が殺された事件が、目撃者によって全然違うという謎を解く。その事件自体はなんとなく見当がつくのだけど、えーそう発展するの、それで、そことそこが伏線だったの、というのが驚きどころ。

 「特異点の女」は、燈馬君と水原さんが目撃した強盗事件と、奪った薬の行方が謎となっている。そして、首謀者の謎の女に、ブラックホールの特異点を重ねる。「C.M.B.」からユーロポールのブルスト刑事が登場。強盗事件と薬の謎そのものはわりとあっさりとしたものだけど、あーそういう風に話がねじ曲がったのか、というあたりが驚きどころ。

中学の友達が動物園の飼育員でな……

 あと、今回の2編も「人が死ぬほう」と「人が死なないほう」の組み合わせなんだけど(以下略)。

C.M.B.森羅博物館の事件目録(41) (講談社コミックス月刊マガジン)
加藤 元浩
講談社 (2019-06-17)
売り上げランキング: 699

 「C.M.B.」41巻は、「生活委員」「封印荘奇譚」「浜栗家の人々」「石と写真」の4編を収録している。

 「生活委員」は、学校ドタバタコメディのシリーズの一編。森羅君と立樹さんが生活委員になって、学校のあちこちで起こるトラブルに振り回されるんだけど……という話で、自分好みだった。博物ネタはバンクシア。

 「封印荘奇譚」は、幽霊屋敷を調査する建設会社のトラブルの謎。本筋とは関係ないけど「「ゆ」の付く 現れたり消えたりする ものすごく自由業な人々」に笑った。博物ネタはオパール。

 「浜栗家の人々」は、行方不明の資産家をその子供達の依頼で探す話。あー、そこからか、というのがポイント。博物ネタは真言立川流……って少年マンガで(笑)。

 「石と写真」は、Instagramみたいな写真SNS(作中では「Intergram」)のグループで、1人がマチュピチュ遺跡で謎の死をとげる話。動機まわりはリアルでありそうなのが怖い。

「彼方のアストラ」全5巻

彼方のアストラ 1 (ジャンプコミックス)
篠原 健太
集英社 (2016-07-04)
売り上げランキング: 10,680

 学校で宇宙の野外体験キャンプに参加した10人のチームが、突然五千光年の彼方に飛ばされて、なんとか生き残って帰ろうとする、ジュブナイルのサバイバルSFマンガ。大元のイメージは「十五少年漂流記」だと作者さんも書いてて、少年マンガらしく努力と友情とギャグの冒険物語にしている。途中で訪れる惑星の生態系もなかなか考えられていて、サスペンスにつながっている。

 ……のだけど、実は謎や伏線がガンガンぶっこまれていて、最後にすべて回収されるという、ミステリー仕立てがキマった作品でもある。4巻最後に壮大な謎が明らかになったのには驚いた。こういう作りだと、全5巻ぐらいの長さがちょうどいいな。

 チームの各自がそれぞれキャラ立っていて、それぞれ価値観が違うので、誰が誰か案外わかりやすい。あと、それぞれ特技を持ったパーティというゲームっぽい設定なのだけど、それにも意味があって……。

 TVアニメ版がこの夏から放送されるということで、ちょっと話題にのぼっていたので読んでみたら、面白かった。

「僕たちは宇宙のことぜんぜんわからない」

僕たちは、宇宙のことぜんぜんわからない この世で一番おもしろい宇宙入門
ジョージ・チャム ダニエル・ホワイトソン
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 5,161

 「無知の知」を“謙虚さ”と解釈するのが好きじゃない。どこまでわかっていてどこからわらないかを、ひたすら突き詰め続けるというのが、学問の出発点なのではないかと思う。

 本書は題名のとおり、量子や大統一理論あたりの、わかっていることとわからないことの最前線を題材に、一般向けにフランクでユーモラスでジョークたっぷりな語り口で解説するポピュラーサイエンス本だ。本文の内容を元にカリカチュアライズしたマンガチックな挿絵が要所要所に入っている。路線は少し違うけど、「ホワット・イフ?」のような感じ。

 本書は冒頭から、宇宙の中にあるあらゆるもののうち、わかっているのは約5%しかないという話で始まる。残りが27%のダークマターと、68%のぜんぜんわからないなにか(ダークエネルギー)だ。

 続いてChapter 12まで1章ずつ、素粒子、質量、重力、空間、時間、次元、光速、宇宙線、反物質のテーマごとに解説する。それぞれ、わかっている部分の解説が平易でわかりやすい。そして、「ここまではわかっている。でもその先がまったくわからない」「ここまではわかっている。でもなぜかそうなのかはまったくわからない」といったように、わからないことについても解説される。

 その先、存在しない(?)Chapter 13をはさんで、それまで学んだ要素が結びついていく。ビッグバン、宇宙の大きさ、万物理論、宇宙に知的生命体がいる確率など。

 全体的にわかりやすく説明しているうえに、「わからない」ぎりぎりのところを覗くワクワク感が、文系人間の私にも伝わってきた。

 あと、仕事を選ばないことで有名なハロー○ティさんが、本書のマンガにも登場していた(笑)。

「GAFA 四騎士が創り変えた世界」

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界
スコット・ギャロウェイ
東洋経済新報社
売り上げランキング: 1,515

 ベストセラーということで読んだけど、2019年のいまから見ると「(みんなが)知ってた」という感想。これが原書発売から約2年の社会変化か。ただ、そうした今日のGAFA論は本書あたりから始まっているので、原点をふり返るという意味で読むというのはアリかと思う。

 本書は、GAFAと呼ばれる4社がこんなふうにイケてる感じを演出して儲けている、という内容。なんだけど、2019年のいまは、データ寡占とか情報コントロールとかも問題になってるのだよなあ。

 あとGoogleについて書かれたはずの第5章は、「ニューヨークタイムズは私のアドバイスを聞かなかったので没落した」という話が中心で、うーむ。

 細かいところでは、「アメリカでは学歴がカースト制度」(第10章)というのは、話には聞いてたけど、やはりそうなのかと思った。

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